カープがさらなる躍進を遂げるには、若い世代の活躍が欠かせない。カープの未来を担う期待の若鯉達の知られざる素顔に迫る『未来を動かす若鯉達の言葉』。今回取り上げるのは、育成ドラフト1位で入団し、2年目には支配下登録と勝ち取った大盛穂。3年目の飛躍を期する俊足巧打の若鯉に秘めたる決意を聞いた。

俊足巧打の外野手として、さらなる飛躍が期待される大盛穂選手。

◆挫折を経験した大学時代。前向きな姿勢が未来を拓いた

─プロとしてやっていくうえで心に刻んでいる座右の銘を教えてください。

「『向上心』という言葉ですね」

─その言葉を選んだ理由は何ですか?

「入団した年(2018年)、僕は一番下からのスタートでした。だからこそ、技術的にもメンタル的にも、毎日一歩ずつでも強くなれるようにと常に思いながら、育成1年目から練習や試合に挑んでいました。その時から意識している言葉が『向上心』です」

─これまでの野球人生で挫折を経験したことはありますか?

「大学を卒業したら社会人野球に進むつもりだったのですが、リーグ戦で結果を残していても、社会人野球のセレクションでは、一日練習を見てもらうだけで、なかなか内定をいただけませんでした。その一日だけで判断されて落とされてしまうのが、すごく悔しかったのを今でも覚えています。卒業後も野球を続けるには、試合で結果を残しアピールするしかなかったのですが、どれだけ結果を残しても報われない日々が続き、それまでの人生で一番悔しく苦しかったですね。このまま野球を続けていけるのだろうかと不安にもなった時期でもありました」

─その葛藤はどうやって乗り越えてこられたのでしょうか?

「もちろん日々の練習に、誰よりも多く取り組みましたし、リーグ戦では、打撃にしても守備にしても、全てにおいて、今までにないものを出せるようにと必死にアピールしてきました。その結果、カープのスカウトの方の目に留めていただくことができました。見つけていただき感謝の思いでいっぱいですし、厳しい現実に腐ることなく、前向きに頑張ってきて良かったなと改めて思いますね」