若手投手の台頭が目立つカープ。先発陣にも若い力が加わり、チーム内の良い競争を生んでいる。ここでは、OBの大野豊氏が注目する高卒2年目左腕・玉村昇悟について話を聞いた。

高卒2年目の飛躍に期待がかかる玉村昇悟投手。

◆評価したいのは先発の役目を全うしていること

 6月のカープ投手陣は、先発陣の月間防御率が5.56と、先発が試合をつくれない試合が目立ちました。ただ、そんな中でも、先発に抜擢された玉村昇悟と大道温貴の若手2人の活躍は、今後の戦いに希望を持たせてくれるものでした。

 今回はその玉村の投球にふれたいと思います。まず言えるのは、高卒2年目であれだけ安定感のある落ち着いた投球ができているのはたいしたものです。想像以上の活躍ではないでしょうか。

 何よりも評価したいのは先発としての役割を全うしていること。これまで8度先発し、5回を投げきれなかった試合は一度もありません。右打者の内角、左打者の内角にしっかりと投げ切れる度胸があり、外角もストライクとボールを効果的に出し入れできています。ストライクゾーンを幅広く使いながら、打者と勝負できているのは玉村の持ち味と言えるでしょう。

 四球で崩れるイメージもないので、自分の投球ペースを保ち持ち味を発揮するなかで、打者と対戦できているように感じます。また、やや遅れ気味で腕が出てくる投球フォームなので、打者としてもタイミングが取りづらく、球速以上のノビとキレを感じているのではないかと思いますね。

 左の先発として期待していた床田寛樹が二軍で調整するなど、一軍に左腕先発が足りていない状況だけに、玉村にかかる期待は大きいです。この先、状態が良い時も悪い時もあるでしょうが、悪い時でも粘って試合がつくれるように、持ち味を発揮して投げていってもらいたいですね。