『エイジェックスポーツ科学総合センター』は、日本最大の民間スポーツ科学施設として2024年7月、栃木県栃木市にオープンした。様々なスポーツ事業を展開してきたエイジェックが運営しており、トップアスリートから育成年代、一般のスポーツ愛好者まで幅広い層を対象にした、科学的根拠に基づく測定・評価・トレーニングを提供する複合施設だ。
この連載では「アスリートのために何ができるのか」をテーマに、同センターの取り組み、役割を紹介する。連載第2回目は、ピッチングスキルコーチの林 明良氏に『「ベースボールラボ」の役割』を聞いた。
◆「スポーツ科学」をベースに確かな指導を
センターの中核を担うのが「ベースボールラボ」エリアです。野球のあらゆるパフォーマンスを「見える化」し、これまで感覚に頼っていた部分を科学的に分析・評価して指導することを目指します。球質、打球質、スイングの特徴を多角的に測定して、球の速さや打球の速度といった従来の数字だけでなく、映像を用いてフィードバックすることで、「実際の数値」と「本人の感覚」のギャップを可視化してすり合わせることが可能です。
具体的な測定項目は、「投球」では球速、ボールの回転数、変化量、回転軸、リリースポイントなど18項目、「打撃・スイング」では打球、打球角度、飛距離、バットスピードやスイング軌道、インパクトのタイミングなど21項目。また、投球動作、打撃動作のフォーム、地面反力や身体の使い方なども細部にわたり解析しています。
これらのデータと映像を併せて確認することで、選手自身の「自分はこう動いているつもり」と「実際の動き」との違いが明確になるため、納得感を持ってもらいトレーニングの指導に取り組めています。
課題を明らかにすることで、「獲得したい動き」や「再現すべき動き」を具体的に示せているので、修正点を短時間で特定することができ、選手たちの「修正スピード」は劇的に向上します。
打撃測定の指導を受けたNPBの選手からは、「自主トレ前に自身の課題がはっきりして、指導により改善までつなげる事ができた」。また、投球測定を体験したNPBプロ2年目の投手からは、「長く解決できなかった課題が測定・指導で明確に解決した。数値と身体感覚が一致した。今シーズンの糧にしたい」とコメントをいただきました。NPBに入団が決まった投手は測定を終え、「実戦で使える新球種が習得でき、課題の投球エラーの動作も修正することができた」と手応えを語り、視察のために来訪したNPBのデータアナリストチームや、NPBのアナライザーチームからは、「価格以上の価値があり、足を運んでよかった」「自社にも取り入れたい要素が多く、とても勉強になった」といった感想を聞くことができました。
ベースボールラボでは各自の測定結果を元に、パフォーマンスアップと傷害予防の視点を持ち合わせたスキル指導(ハイブリッド投法)、スイング・打球速度を上げるためのトレーニング法、打撃・投球の座学などを提供しています。
これからも野球界発展のため、現役アスリートから育成年代の選手たちに向けて、「スポーツ科学」をベースとした確かな指導を続けていきたいです。

