オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを勤め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー・高島誠が、広島アスリートマガジンWEBに登場! 数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流・野球パフォーマンスアップの秘密を披露する。

僕が“常識”を疑うようになったワケ

 広島アスリートマガジンWEBをご覧のみなさま、はじめまして。野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。マックと呼ばれることが多いので、みなさんにもその名前で親しんでもらえるとうれしいです(笑)。

 このコラムでは、僕がトレーナーとして培ってきた経験、最新機材を取り入れた練習方法をもとに、野球界に蔓延している常識を疑うことから始まった、野球のパフォーマンスアップにつながる情報を発信していきます。野球をやっていない方にも楽しんでもらえるように、プロ野球選手のさまざまなエピソードも紹介していきますので、どうぞお付き合いください。

 おそらく僕の名前を初めて聞いたという方も多いと思うので、1回目のコラムでは、自己紹介もかねて、「Mac’s Trainer Room」で心がけているトレーニング方法を紹介します。

 読者のなかには高校球児の方もおられると思います。みなさんと同じように、僕も高校球児として甲子園を目指していました。しかし、不運にもケガをしてしまい、その後の選手生活を諦めざるをえなくなることに。連日のように1000本の振り込みを課せられ、手首の痛みに耐えて素振りをしているうちに左手首の靭帯を損傷してしまったのです。

 野球選手の夢を諦めた僕は、高校卒業後にトレーナーを志し、専門学校を経て、オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)のトレーナー、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを勤めてきました。そして、オフに帰国したとき、少年野球や高校野球の練習をサポートするうちに、“一人でも多くの子どもたち、若い選手たちに野球を続けてもらいたい”という想いを強く抱くようになりました。

 投げ込みや素振りなどの数をこなす反復練習。それを続けることで技術が向上するという考えが浸透している日本の野球界では、僕のように、その反復練習が原因で10代前半で肩や肘など、野球をプレーするのに大切な部分を痛めてしまうケースが非常に多いです。若い選手にとって、そのケガは、野球を続けていくうえで致命的ですし、日本球界にとっても大きな損失だといえます。

 未来の日本の野球を支えていく選手たちのケガのリスクを減らし、効果的なトレーニングを届けたいという思いが、日に日に強くなり、アメリカから戻ってきたタイミングで、野球専門のトレーニングジムを開くことを決めました。

 人生の大半で野球に携わってきたからこそ言えるのですが、野球の練習メニューには、目標や目的が曖昧なものがとにかく多いです。なぜ100球投げ込むのか、なぜ100回素振りをするのか。それをこなすことによって、どのような効果が得られるのか、具体的にどんな能力が身につくのか。この問いかけに論理的に答えられる人はいないのではないでしょうか。