誰もが認める抜群の打撃センスを持つ西川龍馬。今季は、巧みなバットコントロールに加え、逆方向への長打も目立っている。前半戦、思うような結果が残せなかったとはいえ、西川の存在はカープ打線に欠かせない。復調が待たれる西川の今季の打撃について、カープOBの笘篠賢治氏に話を聞いた。

より力強さを増した西川龍馬選手の打撃。後半戦、打線のキーマンとして、流れを生む一打に期待がかかる。

◆逆方向への力強い打球を生む下半身の強さに注目

 今季の西川は逆方向に強い打球を飛ばしている印象があります。逆方向への一打で印象に残っているのは4月2日のDeNA戦(横浜スタジアム)で左腕の濵口遥大から放った豪快な本塁打です。あの一打は見ていて本当に驚きました。

 左投手を苦にすることなく、体重を後ろに残した状態でしっかりとバットを振り切り、レフトへ力強い打球を飛ばしていました。また、4月24日の巨人戦(東京ドーム)でもビエイラから左翼席に本塁打を放つなど、今季は左方向への目を引く打球が増えている印象があります。

 特に濵口からの本塁打は、下半身の力を最大限利用しないと打てない打球だと思いますね。昨季の右足手術をきっかけに、例年以上に下半身を鍛え、体を強くしたのでしょう。タイミングの取り方やバットの軌道は、昨年と比べて、そこまで大きな変化は見えませんから、今季の西川の活躍の鍵は下半身の使い方と言ってもいいでしょう。バットコントロールは天下一品ですから、そこに下半身の力強さが加わることでどんな進化を見せてくれるか楽しみです。

 前半戦を終えてチームとしては負け越していますが、6月後半から西川の状態は上がってきていると感じるだけに、後半戦も1打席1打席を無駄にしないように、集中力を持ってプレーしてほしいと思います。