山本浩二(やまもとこうじ)/1946年10月25日生、広島県出身。監督就任3年目の91年にはチームを優勝に導いた。野村謙二郎、前田智徳、金本知憲、黒田博樹、新井貴浩ら数々の名選手を育て上げた。

 2001年に浩二さんが二度目の監督就任時、私は二軍監督という立場で一緒に戦わせていただきました。当時はFA制度の影響もあって、金本知憲ら主力選手が抜けるなど戦力が整わない時期でした。周囲からも優勝は難しいと言われていましたが、それでも一軍監督として当然優勝を目指さなければなりません。

 それだけに、浩二さんもあの時代は苦しさがあったと思います。私は二軍監督として、なんとか浩二さんの役に立ちたいという思いがありましたし、ある程度成長し、使えると思った選手は推薦させてもらいました。

 当時チームの成績こそ思わしくありませんでしたが、良い素材を持った若手選手が何人も育っていきました。最初に監督をされていた時には江藤智(巨人三軍監督=取材当時)や前田智徳が育ちましたが、二度目の監督時には、新井貴浩や栗原健太(楽天コーチ=取材当時)など、多くのスラッガーが生まれました。

 もちろん育てるには時間を要しますし、我慢強さも必要になるでしょう。そういう意味で浩二さんはとても我慢強い監督でもあったと思います。私は古葉さん、阿南さんの元でプレーをさせていただきましたが、監督としてのカリスマ性でいえば、浩二さんはナンバーワンでしたし、厳しさの中に温かみのある監督でしたね。