春季キャンプがスタートし、初日のブルペンではカープ投手陣が続々と投げ込みを行った。チーム内競争を勝ち抜き、開幕ローテーションをつかむ投手は誰なのか。そして注目は2026年シーズンの開幕投手だ。ここではカープのレジェンドOB・大野豊氏が、自身の経験ともとに、開幕に向かう心構えを語った独占インタビューを、再編集してお届けする。(『広島アスリートマガジン』2025年3月号掲載記事を再編集)

佐々岡真司とランニングする大野(右)。1998年には、史上最年長の42歳で開幕投手を務めた

◆  『1/143』以上の重み

 この季節になると話題に上がるのが、各球団の『開幕投手』です。私は現役時代、3度開幕投手を務めさせてもらいましたが、先発投手としてプロの世界でプレーするのであれば、開幕投手を任せてもらえるのはとても名誉なことだと感じていました。1シーズンは143試合あるわけですが、開幕戦は単に『143試合のうちの1試合』というだけではありません。特に重みがあり、重圧もあるのが開幕戦です。

 シーズンの初戦ですから、そこでチームを勝たせ、そして自分も勝てるという形で良いスタートを切りたい。自分の投球によって、「今年はいけるぞ」とチームに弾みをつけるような内容にしたいという思いは当然ありますし、名誉でもあり、責任も感じるというのが開幕投手独特の気持ちなのではないかと思っていました。

 実は私は、1998年に三村(敏之)監督から3度目の開幕投手に指名された時、一度は断ろうとしていました。

 私にとって開幕投手とは、1年間ローテーションを守り、数字も残すことのできる投手です。当時、私は42歳という年齢でしたし、チームには自分よりも若い投手が何人もいました。そのなかで年長の私が開幕投手をやっているようでは、カープは優勝できない。そう感じたのです。ただ、三村監督から言われたのは「大野が投げて、もちろん勝ってくれることがベストだけれど、仮に負けたとしてもお前なら周りが納得するんだ。だからお前に任せたい」という言葉でした。非常にありがたいと感じると同時に、身の引き締まる思いがしたことを覚えています。

 勝つことはもちろん大前提ですが、やはりチームや周りが納得する投手が開幕のマウンドに上がる。開幕投手には、そうしたことも必要なのではないかと感じています。

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