かつてU-18日本代表の左腕エースとして活躍した、エイジェック硬式野球部の川端健斗投手が、母校・立教大とのオープン戦で復活登板を果たした。左肘の故障という苦難を乗り越えた川端にとって、復活への大きな一歩となるだろう。

エイジェック硬式野球部・川端健斗投手

 川端は高校時代、秀岳館高で3季連続の甲子園ベスト4進出を果たし、U-18日本代表にも選出されるなど、世代屈指の左腕として注目を集めた。プロ志望届を提出せず立教大へ進学すると、1年時からリーグ戦で活躍。しかし、投球フォームを崩したことをきっかけに肘を痛め、3年以降は公式戦の登板がなかった。4年秋のリーグ戦終了後にはトミー・ジョン手術を受け、その後2年間、大学に残りリハビリに専念した。

 2024年、川端は社会人野球チームのエイジェック硬式野球部に入社。しかし、左肘痛が再発し、1年目は登板機会がなかった。迎えた2年目のシーズン、フォーム改善に取り組み、「肘を無意識にかばって腕に余計な力が入ってしまっていたので、脱力を意識するようにした」と話す。全力投球が可能となり、ついに復帰の時を迎えた。

 この日、エイジェックが12点の大量リードで迎えた9回、「ピッチャー川端健斗」のアナウンスが球場に響くと、両チームの選手や関係者から温かい拍手が送られた。オープン戦とはいえ、「これだけ多くの方が復帰を待ってくださっていて、ありがたいことだと感じました」と、感謝の気持ちを口にする。

 奇しくも試合前には、川端が円陣で声出しを担当し、「感謝の気持ちを忘れずにプレーしましょう」とチームに呼びかけていた。

 復帰登板では最速139キロを記録。高校時代の最速148キロには及ばないものの、「痛みなく投げられたのは最近のこと」と語り、確かな手応えを感じている様子だ。

 登板を前にした心境については、「投げる可能性があると分かってから、久々に投げる実感が湧いてきました。母校のマウンドで、知っている方もたくさん見に来てくださっていて、甲子園以上に緊張しました」と振り返った。

 当面の目標は公式戦初勝利。「いつでもマウンドを任される投手でありたい」と話す一方で、大学時代と変わらずプロ入りの夢も抱き続けている。再び大きな舞台で輝く日を目指し、川端の挑戦はこれからも続く。