東京五輪の野球競技は、7月28日(水)に開幕。カープからは12球団最多となる4選手が出場する。名実ともにカープの顔となり、日本代表の主軸に成長した鈴木誠也。世界一の称号を取り戻すべく戦う東京五輪でも主砲の力を示す。

カープ・鈴木誠也選手。

◆日本の未来を拓く4番の最右翼

 広島が誇る、日本屈指のスラッガーが東京五輪の舞台に立つ。選手として、大きな飛躍を遂げた2016年以降、攻守で数々の勲章を獲得してきた鈴木誠也は、5年連続で4割・25本塁打を達成し、ゴールデン・グラブ賞も4度受賞。

 今季は野手のキャプテンにも抜擢され、カープの主砲としてチームを牽引してきた。侍ジャパンには2016年オフに初めて選出。2017年にはWBCのメンバーにも名を連ね、外野のポジションを任されてきた。

「日の丸のユニホームは重みがあります。普段のシーズン中では感じることのないプレッシャーを感じながら戦うだけに、今回の東京五輪は、野球人としての成長も含め、いろいろな部分で成長できる大会になるのではないかと思います」

 2019年に開催されたプレミア12では、8試合全てで4番に座ると、打率.444、3本塁打、13打点を記録。日本を大会初の優勝に導き、MVPを獲得。大舞台でも怯むことなく、プレッシャーを力に変えて結果を残してきた。

「国際大会に経験はあまり関係ないと思います。WBCもプレミア12もそれぞれ違う緊張がありました。東京五輪もこれまでとは違った緊張感を感じるはずです。国際大会であろうと試合は全て勝つか負けるか。負けたら自分の実力が足りていないということなので、実力を確かめるうえでも思い切りやったほうが絶対いい。そういう気持ちで挑んでいます」

 侍ジャパンの稲葉篤紀監督は就任以降、日本の4番に鈴木を数多く起用してきた。今回のメンバーには村上宗隆(ヤクルト)や柳田悠岐(ソフトバンク)など、チームで主軸を担っている選手がいるものの、代表での実績を考えると、東京五輪でも4番打者としての期待がかかる。ただあくまで本人は謙虚な姿勢を貫く。

「4番を打てる打者はたくさんいます。日本を代表する選手が集まって、その中で試合に出場できるのはすごいことだと思うので、まずは結果を残して試合に出れるように頑張ります。試合になれば集中力やモチベーションは自然と上がってくると思います。もちろん不安な気持ちになることもあると思いますが、そういった経験も楽しみに変えながらプレーできたらいいなと思っています」

 カープでは打者として年々すごみを増している鈴木。日の丸を背負い金メダルを目指して戦う東京五輪の経験は、妥協することなく前進を続ける鈴木の可能性を広げるきっかけになるはずだ。

「日本での開催なので楽しみにされている方も多いはずです。感動を与えられるプレーを届けていきたいですし、日本のためにしっかりと頑張りたいです」

 纏う背番号は若き頃に背負っていた『51』。自分らしく己の道を歩み続けてきた鈴木誠也が、大舞台でどんな活躍を届けてくれるか、楽しみに見守りたい。