いよいよ始まった東京五輪の野球競技。日本は初戦でドミニカ共和国に勝利し、金メダル獲得に向けて幸先の良いスタートを切った。ここでは新人ながら侍ジャパンに選出された栗林良吏の東京五輪に向けた思いを紹介する。カープの抑えを任され、開幕から大車輪の活躍。負けない守護神の新たな挑戦に迫る。

東京五輪でも活躍が期待される、カープ・栗林良吏投手。

◆負けられない五輪の戦いで守護神としての経験を活かしたい

─新人ながら東京五輪に出場する侍ジャパンのメンバーに選ばれました。

「昨年五輪が開催されていたら選んでもらえてなかったので、良い巡り合わせで選んでもらえたと思っています。そういう意味でも、代表に選んでいただいたことに感謝して、結果で恩返しできるようにしたいです。これまでやってきたことを自信に変えて、代表チームの輪に入れるようにやっていきたいです。社会人では1球の怖さを味わう悔しい試合を経験し、カープでは守護神を任せてもらっているので、負けられない五輪の戦いの中で、その経験を出せたらと思っています」

─大学時代にも代表経験があります。

「大学の頃は、同じ年代の選手が選ばれていました。ただ、今回の日本代表は、何年もプロで活躍されている方ばかりが選出されています。一度もシーズンを投げ抜いたことがない、自分のような選手がメンバーに入っていいのかという思いもありますが、五輪を経験できることは野球人生において大きなことなので、プラスに捉えてやっていきたいです。まだ合流前ですし、自分の役割は決まっていませんが、与えられたポジションでしっかりと自分の力を発揮して、金メダルに貢献したいと思います」

─五輪の思い出を教えてください。

「2008年の北京五輪で女子ソフトボールが優勝したときの上野(由岐子)さんの投球が印象に残っています。、野球以外でも、スポーツを見ると勉強になることが多いですし、選手の戦う姿に力をもらったことも何度もあります。五輪に限らず、いろんなスポーツを見て刺激を受けている部分はたくさんありますね」

─シーズン前に東京五輪の日本代表に入りたいという思いはありましたか?

「そこは全く考えていませんでした。選ばれてびっくりしましたし、選んでもらった以上は何とかチームに貢献したいという気持ちでいます。また、日本を代表する選手が集まるので話を聞くのが楽しみです。プレッシャーを力に変える考え方など、他の選手がどういう気持ちでグラウンドに立っているかを聞いて、取り入れていけたらと思っています」

─栗林投手の持ち味でもあるフォークボールへの期待も大きいです。

「フォークが通用しなかったら選んでもらった意味がありません。自信を持って、自分を信じて、そして捕手のリードを信じて投げていきたいと思います」

─一緒に日本代表に選ばれた、チームメートの森下(暢仁)投手とは、五輪に向けて何か話はされていますか?

「カープに入団した時と同じように、日本代表の投手陣には、暢仁しか知り合いがいません。なので『今回も暢仁についていくよ』とお願いしています」