前半戦、ブレイクを果たした高卒3年目の林晃汰。巻き返しを図る後半戦も打線のキーマンとなる活躍が期待されているが、前半戦の勢いをなかなか取り戻せないでいる。カープの未来を担う若きスラッガーの状態について、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

東出輝裕二軍打撃コーチと打撃練習に励む林晃汰選手。

◆二軍打撃コーチのアドバイスを吹っ切れるきっかけに

 林晃汰が少し悩んでいますね。前半戦の状態のまま、後半戦に入れればよかったのですが、中断期間があったことで考える時間が増え、考えすぎたがゆえで打撃を崩してしまったようにも感じています。

 たとえば、若い選手が良い成績でシーズンを終えるとします。オフがあり、キャンプがあり、次の開幕を迎えますが、前年に結果を出したからこそ、不安と共に開幕を迎えてしまうことがあります。“結果を残さないといけない”プレッシャーを感じてしまうんですよね。それと同じ心境ではないでしょうか。そういう不安を抱えながら、エキシビションマッチを戦っていたのではないかと思いますね。

 結果的にエキシビションマッチは25打数1安打。本来の打撃を見失い、状態を取り戻すために、二軍の試合にも出場していました。これは二軍選手の出場機会を減らしてでも林に打撃を取り戻してもらいたいという首脳陣の配慮だと思いますね。

 ただ、林にとっては、二軍の打撃コーチに見てもらったことで、復調のヒントとなったこともあったのではないでしょうか。もともと今季は、二軍で状態を上げて一軍に上がってきているので、二軍コーチは林の良いときも悪いときも知っています。だからこそ、二軍コーチからの指摘で吹っ切れた部分もあったのではないかと思います。

 8月13日から始まったペナントレース後半戦。ここまでの5試合で19打数2安打1打点とエキシビションマッチの不調を引きずっているようにも感じます。ただ、8月14日の阪神戦で放った本塁打のように、林本来の強いスイングができれば結果を残す可能性はおおいにあります。

 結果を出すためにもがく日々は、プロ野球選手であれば、誰もが通る道です。これを糧に、スケールの大きい打者になってくれることを期待したいと思います。