カープが3連覇を果たした2016年〜2018年、抜群の安定感で投手陣を支えたクリス・ジョンソンが現役引退を発表した。カープの外国人投手として最多となる通算57勝をマークしているが、その大半の登板でバッテリーを組んだのが、昨年限りで現役を引退した石原慶幸氏だ。ジョンソンの引退を受け、石原氏にその思いを聞いた。

ジョンソンはカープ在籍6年間で通算128試合中118試合で石原氏とバッテリーを組んだ。

◆「すごい投手が来たな」と強烈な印象を受けたことは忘れられません

「KJ(ジョンソンの愛称)の動向はずっと気になっていましたし、どこかでまたプレーを続けると思っていました。現役引退を聞いて、素直に寂しい気持ちになりました」

 ジョンソンの引退を知り、そのように率直な気持ちを話してくれた。

 2020年シーズン限りで石原氏は現役を引退し、ジョンソンも同年オフに退団。奇しくも2人は同じシーズンにチームを去ることになった。2020年11月7日に行われた石原氏の引退試合では、2人は熱い抱擁を交わした。固い絆が示された感動的なシーンは記憶に新しい。

 ジョンソンはカープに入団した2015年以降、6年間で通算128試合に登板。そのうち石原氏は118試合でバッテリーを組み、通算57勝は全てスタメンバッテリーだった。

「まず思い出すのは、2015年に初めてバッテリーを組んだ試合(2015年3月28日・ヤクルト戦)です。1安打完封で来日初勝利したのですが「すごい投手が来たな」と強烈な印象を受けたことは忘れられません。25年ぶりに優勝を果たした2016年には外国人投手として2人目という沢村賞を受賞したのも、純粋に嬉しかったですね。あとは2018年の日本シリーズですね(対ソフトバンク・第2戦)。あの試合も印象深いです」

 2016年に沢村賞を受賞したジョンソンは、「ありがとう」「サワムラ」と刻印された時計を、受賞の感謝を込めて石原氏にプレゼントしたこともあったという。石原氏が忘れられない試合の1つと話す2018年の日本シリーズでは、王者ソフトバンクの強力打線を相手に石原氏は熟練のリードを展開。ジョンソンはそのリードに見事に応えて7回1失点。大舞台で残した最高の結果は、ジョンソン-石原バッテリーのハイライトとも言える一戦だろう。

 引退後、石原氏は「KJとは以心伝心の仲だったのかもしれない」と振り返るように、バッテリーを組む回数を重ねる中で信頼関係を深め、石原氏の絶妙なタイミングでの声がけは幾度もジョンソンのメンタル面を支えてきた。

「今は「お疲れ様」というのが一番の気持ちです。KJの球を受けさせてもらうことができて、すごく良かったし、思い出に残っています。彼とまた会える日を楽しみにしています」

 お互いを「KJ」「イシ」と呼び合っていた2人。石原氏は再会できる日を願っている。