8月26日終了時点でセ・リーグ最下位と、苦しい戦いが続くカープ。残り試合は50試合あまり――。チーム成績はもちろん、そろそろ気になってくるのが「個人タイトル」の行方だ。果たして2021年、カープからタイトルホルダーは生まれるのか⁉
(※成績はすべて8月26日終了時のもの)

新人王候補の栗林良吏投手。まずは30セーブ超えを狙いたい。

◆逆転での「最多セーブ」獲得となれば潮目も変わってくる

 2019年に首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した不動の4番・鈴木誠也が今季も打率.298でセ・リーグ8位につけている。首位打者のオースティン(DeNA/.321)とは2分3厘の差があるが、残り試合数を考えればまだまだ射程圏なのは間違いない。五輪開幕前から状態も上向きで、8月26日の巨人戦では3安打2本塁打5打点と大爆発。このまま好調を維持できればシーズン終盤には首位打者争いを展開するかもしれない。

 また、今季の鈴木は出塁率も好調で現在.404のセ・リーグ2位。こちらも首位のオースティン(.426)とは2分2厘差。2年ぶりの首位打者&最高出塁率獲得へ向け、さらなる爆発に期待したい。

 タイトルではないが、昨季まで5年連続で継続中の打率3割&25本塁打の記録にも注目だ。3割が射程圏なのは間違いないが、現在17本塁打と25本塁打までは残り8本。試合数を考えると「微妙」なラインだが、6年連続となれば王貞治、落合博満に次ぐ史上3人目の快挙。カープの4番がプロ野球の歴史にまたひとつ、その名を刻むかもしれない。

 投手陣でタイトル獲得が期待されるのが森下暢仁だ。現在、防御率2.42はセ・リーグ3位。プロ1年目の昨季も防御率は1.91と、安定感は球界でも群を抜く。勝ち星は6と「最多勝」にはやや遠いが、後半戦も安定感のある投球を見せれば自身初となるタイトルも見えてくる。

 防御率は3.74と森下に後れを取るが、ここまで8勝を挙げてハーラー4位の九里亜蓮には最多勝のタイトルも期待できる。トップの青柳晃洋(阪神)とは2勝差で、まだまだ射程圏。投手の「勝利」は打線との兼ね合いなど運の要素も強いだけに、まずはしっかりと試合を作って「勝ち運」を呼び込みたい。

 最後に、忘れてはいけないのが栗林良吏。侍ジャパンのクローザーとして金メダルも獲得したルーキーは現在、20セーブでセ・リーグ2位。ただ、1位のスアレス(27セーブ)とは7セーブ差と、その差はやや広がっている。勝利数と同じくセーブ数もチーム状況に大きく影響されるため、まずはセーブのつく場面=リードした場面をどれだけ作れるかが、タイトル獲得のカギを握る。

 栗林には最多セーブだけでなく新人王の期待もかかるが、こちらも佐藤輝明(阪神)という強力なライバルがいる。すでに23本塁打と阪神の球団新人記録を更新。このままいけば桑田武、清原和博の持つ31本塁打のNPB新人記録更新も見えてくる。

 インパクトも含め、現時点での新人王レースは佐藤が一歩リードしている感は否めない。ただし、逆転での「最多セーブ」獲得となれば潮目も変わってくるはず。

 狙って獲れるタイトルではないが、栗林にはまず30セーブ超えと、その先のタイトル獲得まで目指してほしい。