これまで感じたことのない手応えが残った打席だった。7月2日のファームでの中日戦で、韮澤雄也が二軍とはいえ初本塁打を放った。スタンドインまで長い時間を要した。しかし、手に残った感触は韮澤の打撃を一層進化させた。以降も本塁打を重ね、1カ月の間に4本塁打。長打力向上をテーマに掲げ挑んだ今季、その課題を少しずつ解消しつつある。オフには自ら志願して菊池涼介の自主トレに参加するなど、初の一軍昇格に向けて貪欲な姿勢を見せる、高卒2年目の若鯉の成長を追った。

初の一軍昇格に向けて二軍で鍛錬に重ねる高卒2年目の韮澤雄也選手。

◆得点圏打率にこだわりチャンスに強い打者に

─初本塁打を放つなど、昨年以上に長打を打つ確率が増えています。数字が残ることで、ご自身の中で手応えを感じている部分もあるのではないですか?

「課題にしていた長打がプロ1年目に比べると増えてきているのでそこは成長した部分かなと思います。(初本塁打は)木製バットで本塁打を打ったのが初めてだったので、振り抜いたときは、これまで感じたことのない感触がありました。高校時代でも感じたことがなかったですね。それだけに、あの感触はまだ両手に残っています」

─本塁打をきっかけに、つかんだものはありますか?

「それはまだまだですが、これまでやってきたことに対して少し自信が持てたのはあります。打席では、どんな球に対しても自分の間合いでスイングし、ライナーで右中間、左中間を抜く強い打球を打つように心がけています」

─7月にはフレッシュオールスターゲームに初出場。他球団の選手と一緒にプレーすることで得たものなどはありますか?

「打撃について、いろんな選手と意見交換できたのは良かったです。参考になったことは、それ以降、練習で試したりもしました」

─昨年から由宇球場は無観客での試合が続いています。スタンドにファンの方がいる中でプレーすると気持ちも高ぶるのでは?

「気持ちを試合にもっていきやすくはありますね。由宇球場に足を運んでもらえないのは残念ですが、だからこそ、早くカープファンのみなさんに囲まれた中でプレーしたいと思っています」

─一軍に向けてアピールしていきたいことを教えてください。

「長打も大事だと思うのですが、それ以上に数字にこだわっていきたいのは打率と得点圏打率。安定して結果を残し、チャンスに強い打者になりたいと思っています」

◆プロフィール
韮澤雄也 54
■にらさわ・ゆうや    ■2001年5月20日生(20歳)■178cm/81kg    
■右投左打/内野手 ■新潟県出身 ■ 花咲徳栄高 -広島(2019年ドラフト4位)
高校時代は3年連続で夏の甲子園を経験。プロ1年目は二軍でチーム2位の68試合に出場し経験を積んだ。2年目の今季、初の一軍昇格を目指す。