2年ぶりの通常開催となった今夏の全国高校野球選手権広島大会は、広島新庄が5年ぶり3度目の優勝で終えた。コロナ禍の影響を乗り越え、広島の高校球児たちはそれぞれの思いを持って夏の戦いを迎えていた。ここでは広島大会を盛り上げた3年生をクローズアップし、彼らの思いを聞いた。今回は、28年ぶり広島大会ベスト4入りに貢献した西条農業の主将・村中大成(3年)の夏に迫る。

西条農業の4番・主将として広島大会ベスト4入りに貢献した村中大成選手。

◆4番として西条農業を牽引し、頼れる主将として熱い夏を演出!

 大会前、「チームワークが良くて、負けていても暗くならず必ず逆転してやろうという雰囲気があります。このチームをまとめて、絶対に三浦監督を甲子園に連れていきたいです。どのチームよりも熱く、長い夏にします」と意気込みを語っていた、西条農業の主将・村中大成。

 チームを指揮する三浦謙二郎監督は「特に飛距離は非凡なものがあります。打撃だけでなく守備も足もあるし、肩の強い三拍子揃った選手。もともと恵まれた体格です。体づくりもしっかりしてきました」と評価する。村中自身も「4番に座らせてもらっているので、消極的な打撃はできません。一発を狙う技術はまだないですが、打撃の練習量は誰にも負けないと思っているので、フルスイングを見てほしいです」と自信をのぞかせる。

 1年の秋からベンチ入りし、実戦経験は豊富。2年の夏にはケガで悔しい思いもしたが「絶対にケガをしない体づくり、負けないチームづくりをしようと思いました。ケガは辛かったですが、いろいろと見直す良いきっかけになりました」と、前向きに振り返る。

 主将を務め、精神面でもチームを支える。少し引っ込み思案で、落ち込みやすいという性格も「主将に指名されたのでそういうことは一切なくしました。声を出したりゴミを拾ったり、チームにやってほしいことは自分が率先してやるようにしています。自分のことよりもチームのことを優先して考えて、一人ひとりの意見を尊重できるようになりました」と、リーダーシップを発揮し、人間的な成長を実感している。マネージャーの島原那夢さん(3年)は「優しい性格だけど、みんなに気を配りながら注意すべきことはきちんと言ってくれる頼れる存在です。チームが主将を中心にまとまって、高め合っていると思います」と、話してくれ、チームメートからの信頼も厚い。

 今大会はシード校として順調に勝ち上がり、28年ぶりのベスト4進出を決めた。準決勝では優勝を果たした広島新庄を相手に激闘を繰り広げ、最後まで追い詰める戦いを見せた。惜しくも決勝進出を逃したが、村中は主将として4番として、〝熱く、長い夏〟を演出してくれた。

文:滝瀬恵子