◆ひとり親家庭の球児を支援

「野球を続けたい子どもたちの手助けをしたい」という、ソフトバンクの和田毅選手とタッグを組み、昨年『DREAM BRIDGE』というプロジェクトを発足しました。

『DREAM BRIDGE』は、次のステージでも野球を続けたいと願う小学4年生から中学3年生までのひとり親家庭の球児(男女問わず)を対象に、プロ野球選手が契約メーカーの“新品”の野球用具をプレゼントするプロジェクトです。

 実は、新品というのは和田選手が特にこだわったポイントです。和田選手も子ども時代には野球用具を気軽に買ってもらえる環境ではなかったそうで、新品の用具をもらった時の喜びは何事にも代えがたかったそうです。そこで、子どもたちの士気を上げるためにも、誰かの使い古しではなく、ピカピカの用具をプレゼントしようということになったのです。

 子どもたちには応募する際、『野球を通じてかなえたい夢』をテーマに作文を書いてもらいます。昨年応募してくれた子どもたちは、どの子もみんな家族に対する感謝をとても丁寧に綴っていて、選考委員を務めた和田選手も「自分が彼らぐらいの時、こんな思いで野球に取り組んでいただろうかと考えさせられた」と言っていました。

 20名の選考委員による投票の結果、昨年は2名の球児にそれぞれ7点の新品野球用具を寄贈しました。本来であればお会いして選手から直接お渡ししたかったのですが、コロナ禍で叶わず、その代わりオンラインで交流の機会を設けることになりました。和田選手と子どもたちは「いつかプロで会おう」「一緒に焼肉に行こう」と約束を交わしました。

 うれしいことに、今年は元中日の吉見一起さんがこのプロジェクトの趣旨に賛同し、仲間に加わってくれることになりました。和田選手の契約メーカーであるアディダス、吉見さんのデサントと、球団だけでなくメーカーの垣根を越えてご賛同いただけることもうれしく感じています。いつかカープの選手にも参画していただき、広島の子どもたちの支援にも関われたらうれしいです。

 野球に限らずですが、自分のやりたいことを納得するまで続けることは、子ども達の人生やその家族の人生をより豊かにしてくれると思います。そして、一人、二人であっても野球人口を減らさないことは、野球という競技の発展にも寄与できると信じています。

『DREAM BRIDGE』で支援した球児が、今度はプロ野球選手として支援する側に立つ。そんな夢を描きながらこのプロジェクトを進めています。プロ野球ファン、カープファンの皆様にも、ぜひ『DREAM BRIDGE』を応援していただけたら嬉しいです。

 

岡田真理(おかだ・まり)
フリーライターとしてプロ野球選手のインタビューやスポーツコラムを執筆する傍ら、BLF代表として選手参加のチャリティーイベントやひとり親家庭の球児支援を実施。出身県の静岡ではプロ野球選手の県人会を立ち上げ、野球を通じた地域振興を行う。著書に「野球で、人を救おう」(角川書店)。