2009年のドラフト2位指名から早10年半。入団直後から期待を集めた堂林翔太の現在地は当初、周囲が描いていたものとは違うものとなっている。プロ11年目、29歳を迎える今季、背水の陣で勝負をかける背番号7。キャンプ、オープン戦と少ない打席で結果を残し、必死のアピールが続いている。

プロ11年目の逆襲を誓う堂林翔太選手

 振り返ればプロ3年目の2012年に一軍に定着して全試合に出場し、チーム最多の14本塁打をマーク。両リーグワーストの失策、三振を記録するなど安定感は欠いたが、次代のスター候補としてファンの期待を一身に集めていた。ところが時折り見せる爆発力の一方で、シーズン通して好調をキープすることができず次第に出場数は減少。昨季は一軍定着後、最少となる28試合の出場にとどまり、打率も過去最低の数字(.206)となってしまった。

「足のケガで1カ月思うようにプレーできない時期もあり、なかなか一軍に呼んでもらえませんでした。正直なところ、何度か自分でも腐りそうになるときはありましたけど……そこをずっと堪えて、と言うとおかしいですけど、諦めるということはなかったので、『何か良いことがある』と思いながらずっと練習を続けていたシーズンでした」

 キャリアを重ねるごとに、当然ながら危機感が増すはずだ。『たとえ打てなくても我慢して起用される』という時期はとうに過ぎた。現在の一軍に生き残るには守備力はもちろん、打力でアピールしなければ、熾烈を極めるポジション争いに生き残ることはできない。そんな状況下で昨季プロ10年目の節目を迎えていた堂林は完全に遅れをとっていた。