2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は森下暢仁の単独指名に成功した2019年のドラフトに触れていく。

投打ともにバランスの良い補強に成功したカープの2019年ドラフト。

 前年に続き高校生に人気が集まった2019年のドラフト。野手では石川昂弥(東邦高)が3球団、投手では佐々木朗希(大船渡高)に4球団、奥川恭伸(星稜高)に3球団の指名が重複した。

 11球団が1巡目で高校生を指名するなか、カープは事前に森下暢仁(明治大)の指名を公言。佐々岡真司新監督が強く希望する形で、大学ナンバーワン右腕の獲得に乗り出した。

 高校時代にU18W杯日本代表に選手され、明治大では4年時から主将を務めリーグ優勝に貢献。また同年の全日本選手権で明治大を38年ぶりの優勝に導き、最優秀投手賞も受賞した投手だけに複数球団による争奪戦が予想されたが、蓋を開けてみればまさかの一本釣り。カープファン、そして関係者を驚かせた。

 即戦力右腕の獲得に成功したカープは、2位でも俊足巧打の宇草孔基(法政大)の交渉権を獲得。プロ1年目から二軍で好成績を残し、一軍昇格後はスタメン出場を重ねる中でプロ初安打、打点、盗塁などを記録した。

 高卒投手の3位の鈴木寛人(霞ヶ浦高)と6位の玉村昇悟(丹生高)は、プロ1年目は体力強化をメインに調整。玉村は今季一軍デビューを果たし、先発ローテに食い込み奮闘を続けている。一方で高卒野手の4位・韮澤雄也(花咲徳栄高)と育成2位の木下元秀(敦賀気比高)は、1年目からウエスタン・リーグで50試合以上の実戦経験を積み重ね、今季も一軍を目指し二軍で汗を流している。

 激戦区の捕手枠では5位の石原貴規(天理大)が今季一軍で出場機会を増やし、日に日に存在感を増す活躍を見せている。

【2019年 カープドラフト指名選手】
1位:森下暢仁(明治大・投手)
2位:宇草孔基(法政大・外野手)
3位:鈴木寛人(霞ヶ浦高・投手)
4位:韮澤雄也(花咲徳栄高・内野手)
5位:石原貴規(天理大・捕手)
6位:玉村昇悟(丹生高・投手)
育成ドラフト1位:持丸泰輝(旭川大高・捕手)
育成ドラフト2位:木下元秀(敦賀気比高・外野手)
育成ドラフト3位:畝章真(香川オリーブガイナーズ・投手)