左腕から投じる150キロを超える速球を武器としてきたカープの中村恭平。今季は一軍登板がなく、無念の戦力外通告となった。

10月14日に戦力外通告を受けた中村恭平。

 大学時代から150キロを超えるストレートを投げる左腕としてプロから注目されており、2011年ドラフト2位で富士大から入団。かつて左のエースとして活躍していた高橋建(現阪神コーチ)が背負っていた背番号22を与えられるなど、大きく期待された。

 ルーキーイヤーから一軍登板を果たしたものの、なかなか結果を残せない日々が続き、プロ初勝利はプロ3年目の2013年だった。その後の飛躍が期待されたが、「何が正解か分からない状況で投げていた」と、2014年以降も伸び悩むシーズンが続いていた。

 転機が訪れたのが、背番号64となり崖っぷちの中で迎えたプロ9年目の2019年だった。「単純に筋力が上がれば球速が上がると思って取り組んだ」と、2018年オフに上半身のウエートを重点的に鍛えたことで、ストレートの球速が一気に向上。最速156キロを計測するなど、中継ぎとして存在感を見せ、自己最多の43試合に登板した。

 翌年から左の中継ぎ定着を期待されたが、キャンプ時の故障もあり14試合登板に留まり、今季は二軍でも16試合の登板だった。ポテンシャルの高さから毎年のように期待された左腕も、32歳での戦力外となった。今後の去就に注目したい。