カープは育成4選手を含めて11選手を指名した。そのうち野手は5人。来年の春季キャンプから新たな競争が始まる。

 10月11日に行われた今年のドラフトでカープは育成を含め11名の選手を指名。プロの世界に飛び込んでくる選手たちは、どんなプレーを持ち味にしているのか。アマチュア球界を長年取材し指名候補選手に詳しい安倍昌彦氏にカープが指名した11選手の特徴、期待される役割などを語ってもらった。

 今回はドラフト6巡目指名・末包昇大(大阪ガス)の解説をお届け。右の長距離砲として期待がかかる末包の魅力を、安倍昌彦氏の視点で紹介する。

カープからドラフト6巡目指名を受けた大阪ガスの末包昇大選手。

◆体格からは想像がつかない意外性のかたまりの選手

 6月の日本選手権で見た、末包昇大の悔しそうな表情が印象に残っています。バットの先で捉えた打球が、ライトフェンスに直撃。滑り込んだ二塁ベース上で「あーっ!」と天を仰ぐ末包。バットの芯ではない『打ち損じ』だったとしても、本人のなかでは「スタンドに入った」と思っていたのかもしれません。

 左中間上段に140m弾を叩き込む底抜けのパワーが持ち味で、右方向へも同様の長打を放つことができます。特にこの1年、社会人2年目での『実戦力アップ』にはめざましいものを感じています。

 末包の魅力はパワーだけではありません。機敏で、決して力任せにならない送球動作からの高精度の強肩。投手を揺さぶりながら盗塁してしまう脚力。まさに意外性のかたまり。ただの『110kg』でないことはたしかです。

●ドラフト6巡目:末包昇大(外野手・大阪ガス)
すえかね しょうた/1996年5月27日(25歳)/右投右打/188cm・110kg

●解説:安倍昌彦
あべまさひこ/スポーツジャーナリスト。1955年4月24日、宮城県仙台市生まれ。早稲田大高等学院、早稲田大学野球部にて捕手を務めた。卒業後会社勤務ののち、野球雑誌『野球太郎』の立ち上げに参加。ドラフト候補選手たちの投球を実際にブルペンで受けた上で選手たちの状況を語る“流しのブルペンキャッチャー”としての活動は現在も継続中。各種webマガジンでドラフト候補選手たちにまつわる連載を担当している。