ボーンヘッドが流れを左右する

 もちろんそんなことが起こる確率は少ないが、それでも年間何百回と打席に立つことを考えると、馬鹿にできない頻度でそれは起こりうるのではないだろうか。こういったプレーは意外と試合の流れを左右することがある。

 相手チームのファーストが球をファンブル、だがバッターは最初からあきらめて走っていたため、こぼれ球を拾い直して悠々とアウト―こんなプレーが出てしまったら試合の流れは確実に相手チームに傾いてしまう。

 そして選手自身も、全力で走っていたらセーフなのに、それをやらなかったことに深い負い目を感じてしまうだろう。こういうときの「あー、やっちゃった……」という精神的な落ち込みは、後々まで尾を引くことが多い。

 あるいは、ピッチャーにおいてはベースカバーに入っていないことが僕にとってのミスになる。ベースカバーを怠ってランナーを出してしまい、「まあ、次で抑えればいいだろう」と思いながら投球して被弾―そこからそのピッチャーの野球人生がガラッと変わってしまうことだってあるのだ。

●野村謙二郎 のむらけんじろう
1966年9月19日生、大分県出身。88年ドラフト1位でカープに入団。プロ2年目にショートの定位置を奪い盗塁王を獲得。翌91年は初の3割をマークし、2年連続盗塁王に輝くなどリーグ優勝に大きく貢献した。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成。2000安打を達成した05年限りで引退。10年にカープの一軍監督に就任し、積極的に若手を起用13年にはチームを初のクライマックス・シリーズに導いた。14年限りで監督を退任。現在はプロ野球解説者として活躍中。