3年連続でBクラスに終わったものの、今季のカープで目立ったのは若い力の躍動。小園海斗、栗林良吏、林晃汰などが一軍で大きな飛躍を果たした。

 ここでは、未来のカープを支えるキーマンたちを発掘した担当スカウトに獲得の裏側を聞いた。今回は、今シーズン一軍に定着し、球団4人目となる高卒3年目野手での2ケタ本塁打を達成した林晃汰の獲得エピソード。担当した鞘師智也スカウトが未来の大砲に惚れた経緯とは。

◆泥臭くガムシャラに野球に取り組むのが林の持ち味

今季、一軍で10本塁打を放った林晃汰選手。

<林晃汰獲得秘話(担当:鞘師スカウト)>

 高校1年の林を初めて見た時、体も大きいし良い選手だと思いましたが、同級生の小園と違い、絶対にプロに行くだろうという印象は抱きませんでした。打球を飛ばす力はありましたが、未知数な部分が多かったからです。 

 林が欲しいと思うきっかけになったのは、1年の秋の試合で放った2本の場外本塁打。林が描いた放物線を見て、2年後には、1位・2位クラスの選手に成長すると感じました。その予想通り、チームの主軸を任されると、2年夏には甲子園に出場し本塁打。長距離砲としての素質の高さを全国にアピールしました。

 しかし、大会後に右肘を手術。その影響もあったのか3年では思ったほど結果を残せませんでした。林には申し訳ないのですが、この結果は好都合でした。私の中では、小園と同じレベルの枠に林を入れており、他球団のマークが緩んだことで、小園と林を両方獲得できる可能性が生まれたからです。

 林は器用な選手ではありませんが、泥臭くガムシャラに野球に取り組むのが彼の持ち味です。とにかく努力家。実際、小園と同じくらいのスピードで成長を続けているので、将来が本当に楽しみです。

 ショート・小園、サード・林の同級生コンビで、カープを盛り立てていってもらいたいですね。

●林晃汰(はやし こうた)
2000年11月16日生(20歳)/和歌山県出身/182cm・99kg/右投左打/内野手/智弁和歌山高-広島
【2021年成績】102試合 打率.266 95安打 10本塁打 40打点

●鞘師智也(さやし ともや) 
1980年5月6日生、大阪府出身。報徳学園高-東海大を経て、2002年ドラフト4巡目でカープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍した。2010年限りで現役引退すると、翌2011年からスカウトに転身。現在は主に関西地区を担当し、岡田明丈、小園海斗、林晃汰らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、黒原拓未(ドラフト1位)、森翔平(ドラフト2位)などを担当した。