3年連続でBクラスに終わったものの、今季のカープで目立ったのは若い力の躍動。小園海斗、栗林良吏、林晃汰などが一軍で大きな飛躍を果たした。

 ここでは、未来のカープを支えるキーマンたちを発掘した担当スカウトに獲得の裏側を聞いた。今回は、新人ながらチームトップの54試合に登板した森浦大輔の獲得エピソード。担当した鞘師智也スカウトが新人リリーフ左腕を見出した理由とは。

◆“絶対に負けない”その熱い気持ちも森浦の魅力

今季、チームトップの54試合に登板した森浦大輔投手。

<森浦大輔獲得秘話(担当:鞘師スカウト)>

 森浦のことは高校1年の秋からマークしていました。3年になって調子を落としましたが、進学した天理大で活躍を続けていたので、1学年上の石原貴規(2019年ドラフト5位)の視察も兼ねて、頻繁に試合を見に行っていました。

 大学1年の時に16三振を奪い完投した試合があるのですが、この時の球のキレ・スピード・コントロール、全てが完璧で衝撃を受けたのを覚えています。4年間の間に、調子を崩した期間もありますが、高校から成長過程を見てきていたので、自信を持って上位指名候補として推薦しました。

 私は野手出身なので、投手の技術の細かいところまでは分かりません。大事にしているのは自分が打者として対戦した時の感覚です。自分が嫌だと感じる部分をどれだけ持っているかを評価基準にしています。

 それでいくと、森浦はとにかくコントロールが安定していました。あと、マウンドでの立居振る舞いですね。ファンのみなさんからすると、口数が少なく物静かなイメージがあるかもしれませんが、しっかりと自分の考えを持ち、納得しないと動かない、良い意味での頑固さも持ち合わせています。あとは気持ちの強さ。絶対に負けない、そんな熱い気持ちをマウンドから常に感じたのも森浦に惚れた理由の一つです。 

●森浦大輔(もりうら だいすけ)
1998年6月15日生(23歳)/和歌山県出身/175cm・72kg/左投左打/投手/天理高-天理大-広島
【2021年成績】54試合 3勝3敗17ホールド 防御率3.17 48.1回 41奪三振 

●鞘師智也(さやし ともや)
1980年5月6日生、大阪府出身。報徳学園高-東海大を経て、2002年ドラフト4巡目でカープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍した。2010年限りで現役引退すると、翌2011年からスカウトに転身。現在は主に関西地区を担当し、岡田明丈、小園海斗、林晃汰らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、黒原拓未(ドラフト1位)、森翔平(ドラフト2位)などを担当した。