現役時代は「建さん」と呼ばれ、誰からも愛された左腕が12年ぶりに赤いユニホームに袖を通す。

12年ぶりにコーチとしてカープに復帰する髙橋建氏(写真は現役時代)

 カープは15日、OBであり今季まで阪神コーチを務めていた高橋建氏(52)が、来シーズンから一軍投手コーチに就任することを発表した。背番号は87。

 高橋建氏は横浜高-拓殖大-トヨタ自動車を経て、1994年ドラフト4位でカープに入団。プロ1年目から中継ぎとして一軍に定着すると、その後は先発、中継ぎを問わず息の長い活躍を見せた。

 入団3年目の1997年以降はBクラスが続いた低迷期において、高橋氏は通算70勝をマーク。これはカープの歴代左腕としては球団4位の記録だ。2008年には巨人を相手に、わずか102球で完封勝利をマークし、大野豊氏に次ぐ球団2位の高齢完封記録(39歳0カ月)を樹立すると、同年のオールスターにも選出された。39歳2カ月でのファン投票での選出は、当時の最年長記録だった。

 30代半ばからは左膝の手術など、対戦相手だけではなく故障との戦いも余儀なくされた。それでも高橋氏はその都度復活し、2009年にはメジャーリーグのメッツに移籍。40歳にしてメジャーのマウンドも経験。2010年にカープに復帰すると、同年限りで現役を引退した。

 現役引退後はプロ野球解説者として活動し、2016年から阪神の二軍投手コーチに就任し、今シーズンは二軍育成コーチを担当。6年間若手投手育成に尽力した。

 今ドラフトでは1位で黒原拓未(関西学院大)、2位で森翔平(三菱重工West)と即戦力左腕を補強。さらに今季は床田寛樹、高橋昂也、玉村昇悟など若手左腕投手が先発ローテで存在感を見せ、ルーキーの森浦大輔は中継ぎとして54試合に登板した。

 左腕投手の台頭も目立つだけに、経験豊富な「建さん」の左腕育成に期待がかかる。