今季のカープ投手陣は、数多くの投手が一軍初登板を果たし、なかでも、ドラフト1位の栗林良吏、ドラフト2位の森浦大輔は、チームで1位と2位の登板数を記録するなど台頭が目立った。ここでは、今シーズン、守護神として大車輪の活躍をみせた栗林良吏について、横山竜士一軍投手コーチに聞いた。

今季、守護神として活躍し、リーグ2位の37セーブをあげた栗林良吏。

◆宝の持ち腐れのような状況を招いてしまったことは反省点

 球のスピードとキレ、そしてウイニングショットにフォークを持っているところが栗林にクローザーを託した理由です。

 2月下旬の中日との練習試合が終わった後のスタッフミーティングで、最後を栗林に任せてみようという話は出ていました。気持ちの強さというよりは、技術的な部分が決め手です。

 初登板となった3月27日の中日戦で見事にプロ初セーブをあげましたが、開幕直後に2連投、1日空けて、また2連投が続いたので、連投の多さが心配ではありました。

 ただ、そういった連投を含め、登板間隔が詰まっていても毎回素晴らしい内容の投球で応えてくれたので、栗林への信頼がどんどん増していきました。と同時に、投手コーチとして、1年間ケガなく投げさせないといけないと強く感じていました。

 シーズン序盤は同点の場面でも起用してきましたが、東京五輪明けからは、栗林の負担を考え、登板をセーブシチュエーションに限定しました。ただ、その条件があったため、同点のまま終えることができず負けた試合もあります。宝の持ち腐れのような状況を招いてしまったことは自分たちの反省点です。

 栗林のおかげで9回までにリードを奪えばチームは勝てていましたが、栗林だけに頼るのもよくないと思っています。栗林と同じくらい、信頼してマウンドに送り出せる投手を育てていかないといけません。

栗林良吏 #20
リリーフ/右投右打/1年目
【2021年成績】53試合 0勝1敗37セーブ 52.1回 81奪三振 防御率0.86

横山竜士(よこやまりゅうじ)
1976年6月11日生、福井県出身。1994年ドラフト5位でカープに入団。1997年に10勝をあげると、以降は主にセットアッパーとして活躍。2013年には通算500試合登板を達成した。2014年に現役引退。野球解説者を経て、2020年から一軍投手コーチに就任。通算成績は46勝44敗110ホールド17セーブ。