思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回スポットを当てたのは、オフシーズンならではのゴルフ。その魅力!?をオギリマ視点でゆる~く取り上げる!

◆ユニフォーム姿とも、完全な私服とも違うゴルフウェア姿は、なんとも新鮮

 昭和の会社員のたしなみの一つといえば、ゴルフではなかっただろうか。社内コンペや接待など、会社員とゴルフは切っても切れない関係にあったように思う。平成に入り、「会社員=ゴルフ」というイメージは次第に薄まっていったが、最近になって、若い人を中心に再びゴルフが注目されている。

 そんな中、野球選手だけは、昭和から平成、令和の時代を通して、事あるごとにゴルフをやっていた。むろんシーズン中ではなく、納会や優勝旅行の際に行われる訳だが、我々ファンは毎年のように「ゴルフに興じる野球選手」の姿を見ている。

 そもそも、なぜ野球選手はゴルフをするのだろう。デスクワークの会社員が休日の気分転換に、というならば話もわかるが、野球選手の場合は、球技のオフシーズンにまた別の球技をやっている訳だ。

 考えられる理由としては、野球とゴルフとでは別のスポーツであり、そもそもスポーツ好きの選手たちにとっては格好の気分転換になるということではないだろうか。とはいえ、野球選手の多くはゴルフも上手い。カープで有名なのは前田智徳で、先月行われた25歳以上のアマチュア日本一を決める日本ミッドアマチュア選手権では、8位に入るなど健闘していた。

 ゴルフには、少人数のパーティでラウンドすることで親睦が深まるという利点もある。毎年テレビで放映される選手会ゴルフの様子を見ても、選手たちは実にノビノビとしていて楽しそうだ。

 印象に残っているのは、2016年の選手会ゴルフの際の鈴木誠也である。黒田博樹のピッチングフォームをふざけてマネしていたところ、黒田本人が通りがかり、「誰のマネや?」と問われた鈴木が小さな声で「く、九里亜蓮さんです……」と答える様子は、見ている我々もほっこりさせられた。

 先月行われた選手会ゴルフの様子はまだテレビ放映されていないが、選手本人のSNS投稿などでその様子をうかがい知ることができる。そうした写真を見て、やはり最初にファンの目を引くのは、選手たちのゴルフウェアではないだろうか。ユニフォーム姿とも、完全な私服とも違うゴルフウェア姿の選手は、なんとも新鮮に映る。

 しかし多くの選手のウェアは黒やグレー、紺など落ち着いた色合いのものがほとんどで、目立った色は大瀬良大地のオレンジのパンツや大盛穂のブルーのウェアぐらいだったであろうか。是非とも来年以降は、派手な色のウェアを着用する選手が増えて欲しいところだ。

 このように、選手たちのレジャーとして行われるゴルフは、我々ファンにとってもオフシーズンの楽しみの一つとなっている。今年の選手会ゴルフでは、ファンにとってもう一つ大きな出来事があった。今年戦力外通告を受けた今村猛や髙橋大樹らも参加し、元気な姿を見せてくれたことである。彼らがチームを去ることは確かに悲しいことだが、今村も髙橋も、今後に向けての前向きな態度を示していた。その近況を知ることができたのは、とても嬉しいことであった。

 彼らの前途が明るいものであることを祈りつつ、野球選手のゴルフ姿を今後も見られることを楽しみとしたい。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。