「チームに対する考え方を変える必要がある」と前回までで伝えてきましたが、今回と次回で、異質協働体型のチームをどうやったら作れるのか?について、説明していきます。

 

【チームが成長するプロセス】

メンバーそれぞれが異なることを生かし、チーム全員が相互に活発に関わりあっていく「異質協働体」型のチームは、メンバーが揃ったらすぐに歯車ががっちり合い、それぞれが補完しあい、パフォーマンスを発揮できる状態にはなりません。
異質協働体型チームになるには、その過程をしっかりとつないでいくことが重要です。

チームがどのように成長するかを表したのが以下の図です。

 

この図にはポイントが2つあります。
一つ目は「チームのパフォーマンスが下がるタイミングがある」ことです。
常に右肩上がりではなく、思うようにパフォーマンスが上がらない、停滞する、といったことが起きる段階があります。
もう一つは「チームが機能するまでには時間を要する」ことです。
メンバー同士の相互理解やチームとしての合意形成などのステップは欠かすことができず、機能するまでにある程度の時間を要します。

【チームのパフォーマンスが下がるタイミングが重要!】

新たにチームとして発足してからしばらくはチームへの期待感やこのチームで目標を達成するぞ、といった非常に前向きな気持ちが続きます。
この段階ではメンバーはまだ表面的な関係ですので、互いに様子見で踏み込むこともほぼなく、意見などに対して最初から反対や否定をすることもほとんどありません。

しばらくすると、互いの発言や行動について違和感を覚え、表情がさえない、首を傾げたりするメンバーが少しずつ出てきます。
さらに、よりはっきりとメンバーの意見を遮って反論や、意見に対し否定的な考えが提示されるなど、意見や価値観についての対立や対峙が起こってきます。
場合によっては「そっちが悪い」「いや、そっちだろう」といった互いに他責思考で言い合いも起きることもあります。
この段階ではチームの雰囲気は良いと思われる状態ではなく、当然パフォーマンスも下がっていきます。

このタイミングで「チームなんだから仲良くしよう」「まぁまぁ抑えて」と無理矢理に意見を抑える、ひとまず場を落ち着かせるような対応をすることは、実はチームの成長にとって逆効果となってしまいます。

「チームは異質協働体である」とお伝えした通り、人は一人ひとり異なります。
一人ひとり異なるのであれば、目の前で起きたことに対する見方、解釈、考え方が最初からメンバー全員同じということはありません。
違いによって発生する対立や対峙は、一見雰囲気が悪く感じますが、お互いに様子見をして表面上の関係を構築していたメンバー同士が、ようやく自分の考えや意見を言葉や行動にして表し始めた段階です。
それぞれの意見や考えをさらに積極的に出し合い、向き合っていくことによって、それぞれがなぜそう考えたのか、といった背景までメンバー同士の相互理解を深めていくことができます。
メンバー同士の理解が深まるからこそ「どうすれば互いの強みや弱みを互いに補い合い、協働することができるか」と私たち(チーム)としての価値観、やり方や方法を見出す、創り出すことができるようになります。
この過程が異質協働体であるチームの持つ真の力を発揮する上で欠かせません。

意見や考えの対立・対峙が起きている状態は、雰囲気は良くなく、居心地がいいとは感じにくいと思います。
だからと言って、無理に抑えようとしたり、避けようとすると、同じことを繰り返す可能性が高くなるだけではなく、チームとしての成長の機会を失ってしまいます。
この認識を監督やコーチといった指導者はもちろんですが、選手も理解して頂くことが重要で、さらに選手を取り巻く皆さんもこの認識を持って頂きたいと思います。

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「アスガク」トークセッションスポーツで成長する!
~森﨑浩司がサッカーで学んだこと~

〇日時:2021年12月18日(土)13:30〜
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 1.会場参加 ¥3,000(税込)※予約制(予定人数になり次第販売終了)                    
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〇出演:サンフレッチェ広島OB森﨑浩司 氏
〇司会進行:株式会社edu-activators 代表取締役 門田卓史 氏
〇主催:株式会社RIGHTS. / 株式会社サンフィールド
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当日参加・オンライン参加の方ともに上記からお申し込みください。

 

【プロフィール】
門田卓史(もんでん たかし)
(株)edu-activators(エデュアクティベーターズ) 代表取締役
1975年広島生まれ、2016年より現職。アドベンチャー教育、体験教育を背景に、企業や大学、学校教育、スポーツなど幅広い分野に対し、チームビルディングや組織開発、人材育成、ファシリテーション研修などを提供。理論や経験に基づく知識を提供するだけでなく、体験・体感型のワークを通し、受講者自身の気づきから学びを促す納得度の高い参加型の研修を展開。スポーツ分野においては、日本サッカー協会A級ライセンス講習会、日本バスケットボール協会S級ライセンス講習会において講師を務めるほか、サンフレッチェ広島スクールが『人としての成長』を目的に開催されるキャンプの企画運営を担うなど、成長をテーマとした研修を提供している。

コラムVol.9