チームに対する考え方=概念を変える必要がある、と前回のコラムでお伝えしました。そのために必要なことは幾つかありますが、大切なポイントを2つご紹介します。

 

【チームメンバー間の関係性】

一つ目は、人はそれぞれ異なることを再認識することです。
私たちはスポーツや部署などで同じチームにいると、「普通は(こうでしょ)」「それぐらい(わかるでしょ)」といった表現をした経験があると思いますが、私たちはチームメンバーがみんな同じ考えを持っている、と同質して見てしまう傾向があります。
だからこそ、監督やコーチだけではなく、選手も「人はそれぞれ異なる」ことを再認識することが大切です。

チームは「メンバー一人ひとり異なることの強みを生かすこと」が重要とお伝えしましたが、そこに必要なのは「心理的安全」です。
「心理的安全」と聞くとチームメンバー同士の仲が良い、選手とコーチが友達のような関係、といった和気あいあいとした雰囲気を想像されるかもしれませんが、そうではありません。
「心理的安全」を提唱したハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンソン教授によると「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い」とされています。
「対人関係におけるリスク」とは、チームに緊張感が走るかも?メンバー間の関係が悪くなるのでは?と一瞬躊躇するような発言や行動です。
例えばメンバーに対し指摘や反論、時にはダメ出しといった耳が痛くなるようなことを伝えること。また、「分からない」とか「できない」といった自身の評価が下がる可能性があることをメンバーに伝えることなどです。

このようなリスクが伴う発言や行動をしたとしても、チームやメンバーの関係は悪くならない、崩壊したりしないという自信がある状態が「心理的安全」が高い状態です。
それぞれが異なる存在であることを認識し、異なる考えや指摘や反論といった意見を互いに受け入れ、強みや弱みが異なる者同士で互いに補い合い、目的や目標に向かって協働していくことがチームの必要条件です。

【リーダー中心・依存型からの脱却】

2つ目は、リーダー中心・依存型からの脱却です。
「リーダーと言えば?」と聞かれるとどんなことをイメージするでしょうか?
チームや集団に1人で、すべてにおいて判断を求められ、その結果の責任も一挙に背負わなければならない、有能なカリスマ的存在といったことをイメージする方が多いと思います。
そしてこのようなリーダーの下で、メンバーはリーダーの指し示すことの実現に向け、時には自分を犠牲にしてでも、必死に貢献していくこと、時に盲目的に奉仕することが必要とされることが多いと思います。
特にスポーツにおいてはこうした考え方が色濃く、結果の良し悪しをリーダーに依存していることが多いように感じます。

リーダーも人間です。
悩み、苦しみ、判断を誤ることや、失敗もします。
これだけ変化が著しい時代では、どんなに優れたリーダーであっても、たった一人で全てを把握し、全てにおいて正しく、より良い方向性を示すことができる可能性はかなり低いことは明らかです。

リーダーはメンバーを頼ること、力を借りることが欠かせません。
一人ひとり異なった視点での情報、異なる能力や知識、経験を持っているメンバーを、チームに欠かせない存在として尊重し、それぞれの力を持ち寄ることが最もシンプルで効果的な方法です。
同時に、メンバーはリーダーにすべてを任せるのではなく、チームの一員としてチームの目指す目標に向けて進んでいく上で責任を共有し、自身の知識や経験などに基づく考えを時には反論やダメ出しであったとしてもチームに提示することは貢献だ、と認識する必要があります。

「昔は監督の言ったことをちゃんとやってくれるのがいいプレーヤーでしたが、いまはそういうプレーヤーは頼りない。それよりも、新しいものを自分で創り出せる人が求められます。」
(ミスター・ラグビー、平尾誠二が熱弁した〝強い組織〟の作り方/致知出版 2021/10/21記事)

チームとは、異なることを生かし、リーダーも含めてメンバーが相互に活発に関わりあっていく、まさに「異質協働体」です。

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「アスガク」トークセッションスポーツで成長する!
~森﨑浩司がサッカーで学んだこと~

〇日時:2021年12月18日(土)13:30〜
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 1.会場参加 ¥3,000(税込)※予約制(予定人数になり次第販売終了)                    
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〇出演:サンフレッチェ広島OB森﨑浩司 氏
〇司会進行:株式会社edu-activators 代表取締役 門田卓史 氏
〇主催:株式会社RIGHTS. / 株式会社サンフィールド
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【プロフィール】
門田卓史(もんでん たかし)
(株)edu-activators(エデュアクティベーターズ) 代表取締役
1975年広島生まれ、2016年より現職。アドベンチャー教育、体験教育を背景に、企業や大学、学校教育、スポーツなど幅広い分野に対し、チームビルディングや組織開発、人材育成、ファシリテーション研修などを提供。理論や経験に基づく知識を提供するだけでなく、体験・体感型のワークを通し、受講者自身の気づきから学びを促す納得度の高い参加型の研修を展開。スポーツ分野においては、日本サッカー協会A級ライセンス講習会、日本バスケットボール協会S級ライセンス講習会において講師を務めるほか、サンフレッチェ広島スクールが『人としての成長』を目的に開催されるキャンプの企画運営を担うなど、成長をテーマとした研修を提供している。

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