いよいよ始まった2022年。昨年はカープ、サンフレッチェ共に、思うような結果を残せなかったが、若手が台頭するなど、未来への希望を抱かせてくれる戦いを見せてくれた。また、東京五輪が開催されるなど、スポーツがおおいに盛り上がった一年になったと言えるだろう。

 広島アスリートマガジンWEBでは、これまでカープやサンフレッチェをはじめ、広島のスポーツの魅力を伝えてきた。そこで、昨年特に反響の多かった記事を振り返り、2022年のスタートを切る。

 ここでは、未来のカープを支えるキーマンたちを発掘した担当スカウトに獲得の裏側を聞いた記事から、床田寛樹の獲得エピソードをお届けする。担当した松本有史スカウトは、エースとして投げ続ける左腕の姿に惚れたと言う。(2021年11月13日掲載)

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◆魔球チェンジアップが魅力のエース街道を走ってきた左腕

2021年は後半戦にプロ初完封をあげるなど活躍した床田寛樹。

<床田寛樹獲得秘話(担当:松本スカウト)>

 床田は中部学院大1年の頃から見ています。同じ大学に、野間峻祥(2014年ドラフト1位)がいたので、新入部員のチェックは欠かさず行っていました。

 床田の持ち味は、ストレートと変化球を同じ投球フォームで投げれることです。また、常にポーカーフェイスで投げるので、打者からすると打ちづらい投手だと思いました。

 投手を見る時、投球フォームの中で、肩と肘が柔らかく使えているか、球持ちが良いかというところに注目しています。また、私は野手出身なので、打ちづらいかどうかの視点も大事にしています。

 床田は、私が見に行った試合で打たれることはほとんどありませんでした。特に光ったのはチェンジアップ。床田の武器であるこの球はプロでも十分通用すると思いましたね。

 今は体重が88キロありますが、大学時代は線が非常に細かった。本人もどれだけ食べても太らないと言っていたのですが、2019年に左肘のトミー・ジョン手術(側副靱帯再建術)を受け、そのリハビリ期間中に、徹底的に肉体改造に取り組んだことで体がグッと大きくなりました。

 床田はプロ入りまで、ずっとエースと呼ばれてきた投手。プロでケガも挫折も経験したことで、逞しさが増しているように感じます。先発左腕の1番手の座を確立してほしいですね。

●床田寛樹(とこだ ひろき)
1995年3月1日生(26歳)/兵庫県出身/181cm・88kg/左投左打/投手/箕面学園高-中部学院大-広島
【2021年成績】16試合 5勝4敗1ホールド 防御率3.19 87.1回 80奪三振 

●松本有史(まつもと ともふみ) 
1977年5月1日生、広島県出身。崇徳高-亜細亜大を経て、1999年ドラフト7位でカープに入団。現役時代は長打が魅力の内野手として活躍した。2005年限りで現役引退すると、翌2006年からスカウトに転身。現在は主に東海地区を担当し、堂林翔太、菊池涼介、九里亜蓮らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、中村健人(ドラフト3位)、田村俊介(ドラフト4位)などを担当した。