思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回スポットを当てたのは、毎年話題となる『カープグッズ』。多くの人が魅了される理由をオギリマ視点でゆる~く取り上げる!

◆「なぜそれを……?」と思いつつ、手に入れずにはいられない魅惑のグッズたち

 2月、各球団のキャンプもスタートし、新しいシーズンの始まりを感じさせる頃である。ファンにとっては「新グッズの発売」というのも、この時期の楽しみの一つだ。

 今年もまた、個性的なカープグッズが多く発売された。中でも栗林良吏、森下暢仁両投手の顔を3Dスキャンして仕上げた『顔型フラワーポット』は、シュールの一言に尽きる。

 いかに個性的なアイテムとはいえ、われわれがグッズを買い求める時には、どこかしら「これは実用的だろうか」と考えてしまうのものではないだろうか。上記のフラワーポットだって、花瓶という用途があるから買い求めるのであって、ただの生首の置物ならば欲しくならないような気もする。

 しかし、である。

 カープが好きでグッズを買い求めるのなら、実用性など二の次であるべきではないのか。3年前、限定100点という『カープ狸』の抽選販売に申し込みながら、そのようなことをふと考えた(ちなみに狸は落選した)。


 そこで、実用などは二の次、ただただ「カープのグッズが欲しい」という純粋な動機に基づいて私が購入した(あるいは欲しい)グッズを挙げてみたい(価格は今シーズンのカタログによる)。

〇 Red Duck(650円)

 お風呂に浮かべるアヒル人形のカープバージョンである。通常アヒルは黄色いが、こちらはカープ帽をかぶった全身真っ赤のアヒルで、カープ坊やを思わせるりりしい眉毛の持ち主だ。何年にもわたって販売され続けているロングセラー商品であり、実用的ではないか、と思う人もいるかも知れない。しかし、実際このアヒルをお風呂に浮かべているカープファンが、全国にどれだけいるのだろうか。

 このカープアヒル、たまに色違いが販売されることもある。残念ながら私の住む東京では、この色違いアヒルはめったに手に入らない。以前広島から東京に帰る際、土産物に迷って、白いカープアヒル1羽のみ買って新幹線に飛び乗ったこともある。その時の私は、実用性のことなど何一つ考えない、まさに純粋な動機に基づいていたと思う。

〇 プロ仕様ヘルメット(22,000円)

 こちらは私が未だ入手できていないグッズである。選手が着用しているものと同じクオリティのプロモデルは、ユニフォームや帽子など、ラインナップも多い。もちろん多くのファンが欲しいと考えるグッズだろう。

 ユニフォームや帽子はまだ着用の機会もあるだろうし、実用性がある。ところがヘルメットは、いつかぶればよいのだろう。自分で野球をやっている人は自チームのヘルメットがあるはずで、カープのヘルメットはかぶらないはずだ。野球をやっていない私はなおさら、このヘルメットをかぶれる機会がない。それでもいつかはヘルメットを注文したいな……と、毎年のようにカタログを見ながら思いを馳せているのである。

〇 蛍光マーカー(500円)

 星形のそれぞれの角にペン先があるマーカーも、ここ何年かカタログに載り続けている商品だ。赤いマーカーは使い勝手も良く、実用的だと思われる。正直なところを言えば、私自身がこれを購入した時も、「これは使える」という不純な動機に基づいていたことは否めない。

 しかし実際使おうとしてみると、かさばりすぎて筆箱に入らない。書く時にどこを持っていいのかもよくわからない。結局マーカーとしての役目を果たすことなく、机の上に飾られ続ける結果となった。それでも私は満足である。だってカープグッズだから。

 今後も、ぜひグッズ担当者の方々には、実用性を二の次にした面白いグッズを生み出していってもらいたいと考えている。

 カープグッズである以上、たぶん私はそれを買う。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。