◆一軍の紅白戦に大抜擢。初打席から豪打を披露
ドラフト4位で入団した新人・田村俊介の評価が日に日に高まっている。プロでも上位のスイングスピードを誇る左のスラッガーとして入団。名門・愛工大名電高ではエースとしても活躍し、二刀流の期待もあったが、カープでは野手に専念することとなった。
「今は野手一本に絞って、集中して練習ができることをプラスに捉えています」
高校1年の夏には、ヤクルトの奥川(恭伸)に投げ勝ったこともあり、投手としても高いポテンシャルを秘めているが、高校通算32本塁打を放ち、逆方向にも強い打球を飛ばす打撃は、ロマン溢れる未来を感じさせてくれる。
「小さい頃から筒香(嘉智・パイレーツ)選手に憧れていました。筒香選手は内角は豪快に引っ張り、外角は逆方向に長打を放つ打者なので、そのイメージを持って練習してきました」
カープ入団が決まってから筋肉量を増やすことを意識して自主トレを重ね、1月の入寮以降、新人合同自主トレ、春季キャンプと、連日みっちりと汗をかいている。
「プロはパワーもスピードも高校とは全然違うと思っていたので、少しでもそのレベルに近づけるよう、パワーとスピード系の練習に力を入れて取り組んできました」
二軍スタートとなった春季キャンプでは、実戦形式の練習で中田廉や一岡竜司と対戦し、一軍経験が豊富な投手の球のキレ、球速以上に感じるノビを体感した。また、同じ左打者の松山竜平や安部友裕から話を聞き、打撃に関する引き出しを増やしている。
「打撃が自分の強みだと思っているので、そこをしっかりアピールしていきたいです。ただ、まだ覚えることがたくさんあるので、課題を一つずつクリアしていきたいと思っています」
2月12日には、首脳陣の要望で一軍の紅白戦に急遽出場。『7番・左翼』で先発すると、第1打席でいきなりレフトフェンス直撃の二塁打を放ち、持ち味の逆方向への打撃をアピールした。即一軍合流とはならなかったが、初打席から結果を残すあたりが、並のルーキーではないことを感じさせる。
「プロ1年目から1試合でも多く一軍でプレーすることが目標です。期待に応えることができるよう、必死に頑張ります」
V奪回に向け世代交代が進むチームの注目株となれるよう、田村の挑戦は続いていく。
<プロフィール>
田村俊介(たむら・しゅんすけ)
■2003年8月25日生(18歳)■178cm/90kg
■左投左打/外野手 ■京都府出身 ■愛工大名電高-広島(2021年ドラフト4位)
高校時代、イチロー(元マリナーズ)をはじめ、数々の名選手を指導してきた倉野光生監督の指導を受け、プロ注目の選手に成長。田村を担当したカープの松本スカウトは「バットコントロールが良く、西川龍馬二世になれる存在」と評すなど、左のスラッガーとしての期待がかかる。中学から親元を離れ寮生活を送り、野球漬けの毎日を過ごしてきた。