お笑い芸人として活躍中のザ・ギース尾関高文氏の本連載。これまでカープに在籍した歴代外国人選手を、時には厳しく、時には優しく、時にはユーモアを交えながら、尾関氏ならではの視点で紹介していきます。今回は、25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年にカープに加入した、ドミニカンの愛すべき兄貴分、エクトル・ルナ選手を取り上げます。

2016年に中日から移籍し、25年ぶりのリーグ優勝に貢献したエクトル・ルナ。ドミニカンの良き兄貴分としてもチームを支えた。

◆25年ぶりの優勝を目指すカープにやってきた強力助っ人

 2016年のカープ優勝の隠れ立役者がエクトル・ルナであったことを覚えている方は、カープファンであっても意外と少ないのではないでしょうか。

 エルドレッド・鈴木誠也を抑え、25年ぶりの優勝打線の4番を担った助っ人。ドミニカンの良き兄貴だった助っ人。そして気がつくと、いつもケガをしていた助っ人。それが、エクトル・ルナでした。

 ルナが日本へとやってきたのは2013年。DeNAに移籍した大砲トニ・ブランコの後釜として、中日に入団しました。

 シーズンが始まるや否や、ルナは異常なバッティングセンスを見せつけそのまま首位打者をキープ。しかし膝のケガで7月には離脱。その後、シーズン中にも関わらず、中日は年棒約4億円でルナと複数年契約を結びます。シーズン半分ほどでこんな契約をするなんて、きっと途轍もない選手なのだろうと、当時は衝撃を受けたものです。

 翌年からも期待を裏切らない活躍で、超優良助っ人としての地位を気づいたルナ。そんなルナは、中日との契約終了後の2016年にカープへとやってきます。

 優勝への気運が高まるカープへ、最後のピースとしてやってきたルナ。評判に違わず、その高い技術と野球への取り組みはカープの選手に刺激を与えます。

 エルドレッドは、ルナから日本のピッチャーの配球や対応について多くを聞き、カープの若いドミニカンたちは、スタッフさんに至るまで焼肉に連れて行ってもらいます。

 確実にカープ選手たちの心を掴むルナ。バティスタやメヒアが「ルナ」と刺繍の入ったグローブを使い始めたときは、その人心掌握術に、若干恐怖を感じるほどでした。

 エルドレッドがケガをしたときには、しっかりとカープを引っ張ったルナ。
 ジョンソンが不甲斐ないピッチングをしてベンチでグローブを叩きつけたときは、隣に座り、そのグローブをそっと拾って渡してあげました。ボールがサードに飛んで行ったときは半ばエラーを覚悟しなければなりませんでしたが、それを補って余りある、本当に素晴らしい選手でした。

 2016年のシーズン終わりにケガをしてしまい、母国へと帰ったルナ。現在はドミニカで、巨大な牧場を経営しているそうです。

 ルナのインスタグラムでは、地元の野球少年たちに指導している素晴らしい姿を見ることができます。

 そして、そんなルナが先日投稿した写真がこちら

 息子さんの7歳の誕生日に、なんとカープの帽子を被せている写真も! 将来、カープに入団させようと思っているのでしょうか。

 かつて日本ルナ株式会社が、社名にちなんでルナを自社ヨーグルトのCMに起用しようとしたという逸話があります。その話は途中で止まってしまいましたが、いつの日か、そのCMにルナの息子さんが出演することを心から祈っています。

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ザ・ギース 尾関高文(おぜきたかふみ)
広島県東広島市西条町出身のお笑い芸人、熱狂的なカープファン。好きな歴代カープ選手はロビンソン・チェコ投手。 2012年に出演したアメトーーク「広島カープ芸人」で、「カープ OB の北別府さんはブログのコメントに全て返信する」と語り、北別府氏のブログを炎上させた経験を持つ。

[尾関高文公式Twitter]@geeseojeck