サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は、成長が目立つサンフレッチェ広島の期待の若手選手について語ってもらった。※取材は3月上旬。

3月2日のルヴァンカップ名古屋戦でゴールを決めた満田誠

◆若手が躍動&ベテランが締める。好バランスで勝利を呼び込め!

 チーム状況が良い理由は、青山敏弘・塩谷司・佐々木翔など経験豊富なベテランと若手のバランスが取れているから。若手選手たちがのびのびとプレーできています。

 特に注目は、ユース出身の大卒ルーキー・満田誠。3月2日のルヴァンカップ名古屋戦(○2-0)で途中出場し、チームを活気づけるプレーをした上でゴールも決めています。スキッベ監督にとっても、一番目に止まった選手だったのではないでしょうか。相当なインパクトを感じたはずですから、今後も満田を起用する試合は増えていくのではないかと思います。

 同じくユース出身で、愛媛の期限付き移籍から戻ってきた川村拓夢も素晴らしい。名古屋戦でスタメン出場しましたが、プレーのスケールが大きく、常にシュートを意識していて、ボランチの位置から狙ってくるミドルが魅力です。彼らのような若手選手が出てきてくれたことで、青山もすごくうれしそうにしていますね。

 2月23日のルヴァンカップ徳島戦(○3-0)で得点を決めた住吉ジェラニレショーンにも驚かされました。これまでは経験値が少ないため不安を持ちながらプレーしていたと思うのですが、試合を重ねるごとに自信をつけているように思います。もともと身体能力は高い選手ですし、ボールをさばく足元の技術も高い。広島の3バックは佐々木・荒木隼人・野上結貴が鉄板と言われていますが、彼がそこのポジションに入り込む可能性も大いにありそうです。

 鮎川峻も、キャンプでの活躍を経て開幕戦のレギュラーを勝ち取りました。出場機会が少なくても、腐らずにやり続ければ必ずチャンスは巡って来るということです。前線の選手は、結果がすべて『数字』で表れます。シビアさがある一方で、結果さえ残せば試合に出ることができるメリットもあります。どんなボールでもいいからゴールを決めて、ポジションを奪い取ってもらいたいです。

 サントスが名古屋戦でゴールを決められたのも良かったですね。彼はなかなか実力を発揮できず、どうすれば持っている力をチームに還元できるかずっと悩んでいる様子でした。結果が出ない中でも真面目に取り組み続けてきた彼ですから、今回ゴールを決めたことで吹っ切れて、一気に爆発するような活躍をしてくれるといいなと思います。

 こうして振り返ると、今季はユース出身の選手が本当に多いですね。満田、川村、棚田遼、仙波大志の4名が加わったことで、ユース出身は全員で11人。育ててきた選手がトップチームで活躍してくれるのは育成型クラブとして目指してきた形ですし、ユース出身選手が多いと、ファンからしても『おらが街のチーム』という感覚で応援のしがいがあるというもの。これを機に一層チーム内で競争が生まれ、強いチームに成長していくことを期待したいです。