中日黄金期とも言える落合監督時代のチームを攻守に渡り牽引してきた井端弘和氏。緻密で正確、時に積極果敢なプレーで他球団から恐れられた井端氏に、ここ数年のカープ野球と、今季、優勝するためにカープが目指すべき野球、そしてそれを実現するうえでカギを握る選手とポイントを聞いた。(中編)
※シーズン開幕前に取材

ショートのレギュラーとして初めて開幕を迎える4年目の小園。常に先の塁を狙う機動力野球を仕掛けていく上でも、小園にかかる期待は大きい。

◆レギュラーとして挑む小園。攻守において、さらなる成長に期待

 攻撃的な走塁を活かした野球を目指すうえで、キーマンとなる選手をあげるなら、小園になってくると思います。

 彼は若いですし、足もあるうえに1番も中軸も打てる。それだけに自然と期待は大きくなります。ショートの守備に関してはまだまだ改善しなければならない部分もあると思いますが、これは日々の試合や練習の積み重ねで向上していくものです。ミスをすると恥ずかしいという気持ちを持てるようになれば、自然と上達していく選手も多いだけに、小園にはレギュラーとして自覚を持ってプレーしてもらいたいですね。

 小園の球のさばき方を見ていると、これまでよりも余裕を持ってさばけるようになってきたと感じます。もっと上体の力を抜くことで、動きも良くなってくると思いますが、彼はまだ4年目の選手です。経験を重ねることで、もっと上手くなっていくでしょうし、上手くなってもらわなければ困ります。

 私は、小園は球界を代表するショートになると思っています。入団当時は中日の根尾昂と比較されることもありましたが、2018年のU-18日本代表でショートを守っていたのは小園です。代表チーム内でも小園のほうがショートとしての評価は高かったのだろうと思います。カープでは、守備力の方が先に向上するかと思っていましたが、先に打撃の方が開花しましたから、それだけ対応力もある選手なのだと感じています。

 二塁を守る菊池とのコンビネーションも昨年である程度、慣れてきていると思いますから、順調にいけば今年は守備面でも大きく成長するのではないでしょうか。

◆井端弘和(いばた ひろかず)
1975年5月12日生、神奈川県出身。亜細亜大から1997年ドラフト5位で中日に入団。3年目にレギュラーに定着すると、落合博満監督が就任した2004年には荒木雅博と一、二番と二遊間でコンビを組みベストナインとゴールデン・グラブ賞をダブル受賞。以降も粘り強い打撃と堅実な守備で活躍した。2014年に巨人に移籍し2015年限りで現役引退。2017年から日本代表コーチを務め、東京五輪では内野守備・走塁コーチとして金メダル獲得に貢献した。

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