熾烈なFWサバイバルから開幕戦スタメンを勝ち取った鮎川峻。サンフレOBの佐藤寿人氏も「楽しみなストライカー候補」として彼の名を挙げる。小柄だが一瞬のスピードで裏を取り、ゴールへの嗅覚も鋭い。偉大なストライカーの背中を追いかける20歳の挑戦を届ける。(全4回のうち2回目・取材は3月上旬)

積極的なプレースタイルと周囲に物おじせず要求する姿勢は評価が高く、次世代のストライカーとして鮎川峻の名前を上げるファンも多い。

◆求めるときは遠慮なく求めていきたい

――スキッべ監督や迫井深也ヘッドコーチからは、どのような役割を求められていると思いますか?

「(インタビューを実施した3月初旬時点では)まだスキッべ監督から直接指導を受けることができていない状況ですし、十分なコミュニケーションを取れているとは言えません。現在は、実質的には迫井ヘッドコーチからの指導のみになっています。そこでよく言われているのは、〝FWは結果がすべて〟だということ。当然メンバー選考にも影響してくるので、とにかく結果を残すことを一番に考えて取り組みたいです」

―広島アスリートマガジン2月号で佐藤寿人さんと吉田安孝さんの対談が行われましたが、期待のストライカー候補を聞いたとき、寿人さんの口から鮎川選手の名前が挙がりました。以下に記事の一部を抜粋します。

・・・・・・・・・
佐藤 (期待のストライカーというと)鮎川が真っ先に浮かびますね。昨季は、大きく飛躍しかけた1年になったと思います。ただ、チャンスをもらいながらケガをしてしまったのがもったいなかった。これがプロで結果を出し続ける難しさで、ケガで離脱するとチャンスを活かすことができなくなってしまいます。なので、まずは今季、シーズンを通して戦うための体づくりに取り組んでほしいですね。素質的には、期待を持って見ていきたいと思わせてくれる選手です。
・・・・・・・・・

―寿人さんのこのようなコメントを受けていかがですか?

「寿人さんは広島で一時代を築いた素晴らしいストライカーです。寿人さんと共に優勝を経験した青山(敏弘)さんも、寿人さんを例に挙げてアドバイスしてくれることが多いですし、自分がやりたいプレーとも重なる部分が多いので、寿人さんをお手本にしてFWとしての『本質』を学んでいければと思っています。体づくりに関しては、昨季ケガをしたときに、チームのトレーナーの方たちといろいろなトレーニングに挑戦しました。今季また新しいスタッフの皆さんと取り組みながらやっていく中で、フィジカルの強度は上がっていると感じています。さらに日頃のトレーニングでも(佐々木)翔くんや(荒木)隼人くんとマッチアップすることが多いので、体の強い選手との戦い方も分かるようになってきました。これから、もっとフィジカルのレベルを上げて、当たり負けしない体を作っていきたいです」

―また、寿人さんと吉田さんの対談では、「ストライカーには『エゴイスト』な部分も必要。どんな形であれ、〝自分が点を 取るんだ〟という強い気持ちを持ってもらいたい」という話もありました。

「たしかにチームメートに対して、求めるときは遠慮なく求めないといけないと思います。FWが点を取るには、自分がやりたいプレーをチームメートに理解してもらうことが重要です。これまでは、プレーが途切れたときや練習後などにそれを伝えていたのですが、最近は、その場ですぐに伝えるように変えました。時間を置いてしまうとあまり印象に残らず、同じプレーがあったときに反映してもらえないこともあったので、なるべくタイムリーに、〝こういうタイミングで、こういうボールが欲しい〟ということを伝えるようにしています」(続く)

《プロフィール》
鮎川峻(あゆかわ しゅん)
2001年9月15日生 愛知県出身/FW
●2021年成績
サンフレッチェ広島/19試合・1得点
※記録はリーグ戦のみ。