若い力が躍動し、上々の開幕ダッシュを決めたカープ。さらなる浮上のために戦力的な上積みを求めるならば、やはり新外国人の2投手に期待がかかる。

 今季新加入の助っ投は右のドリュー・アンダーソンと左のニック・ターリー。コロナ禍の影響で来日が遅れたが、3月22日に入団会見を行い、すでに二軍戦ではデビュー済。

 一軍デビューを間近に控える両投手のピッチングスタイルとアメリカ時代の実績を改めてチェックしてみたい。

◆ダイナミックなフォームが魅力のアンダーソン

先発として期待がかかるアンダーソン

 先発候補のアンダーソンは1994年生まれの28歳。2012年にMLBドラフト21巡目でフィリーズ傘下に入り、2017年にメジャーデビューを果たすもなかなか登板機会が巡って来ず、5年間で19登板(うち2先発)、1勝1敗、防御率6.50に終わっている。

 躍動感のあるスリークォーターでフォーシーム、スライダー、カーブ、チェンジアップを操る本格派。昨年は3Aで15試合(うち12先発)に登板し、4勝5敗、防御率3.06。70.2投球回で86奪三振を記録しており、3A卒業レベルの実績は残している。

 来日初登板の4月9日のウエスタン・リーグ阪神戦では、ノビのあるフォーシームを見せ付け、6回2安打1失点、9奪三振と抜群の投球を見せた。

 メジャーに定着できなかったのは、直球の平均球速が140キロ台後半でなおかつスピン量も平均以下の「データ」が足を引っ張った面もあるだろうが、数字以上の迫力を持っており、10勝を狙える実力を持つ投手といっても過言ではない。

◆カーブがフィットすればセットアッパーを狙えるターリー

リリーフとして期待がかかるターリー

 昨年から不安が残るリリーフ陣で活躍してほしい左腕・ターリー。1989年生まれの32歳。こちらも2008年にドラフト50巡目でヤンキース傘下に入団した叩き上げ。

 2017年にツインズでメジャーデビューを果たすも翌年にドーピングが発覚し、80試合の出場停止に。2020年にはパイレーツで25登板、防御率4.98とリリーフ陣に食い込んだが、年齢的な上積みが見込めず、DFA(ロースター40人枠から外れること)に。

 昨年はホワイトソックス傘下3Aで43試合に登板し、1勝4敗、防御率5.02と乱調が目立ったが、43投球回で60奪三振は「一芸」と呼べる武器を持っている。

 その武器は斜めにスライドするカーブ。基本的にはフォーシームとカーブの2球種を操る「ツーピッチ・ピッチャー」。最速156キロ、平均150キロ台前半のフォーシームも威力十分でこちらも三振を狙える球だ。

 スリークォーター左腕でハイ・ファストボール(高めの釣り球)がうまく使えなかったため、アメリカでは目立った成績を収められなかったが、二軍戦での登板を見る限り、低めやイン突きを駆使し、右打者も苦にしていない。

 ただ、クイックは苦手な印象でボークも取られている。この弱点が修正でき次第、一軍お目見えになりそうだ。