開幕から好調な戦いぶりを見せる中で投手陣の安定感が光っているカープ。今回のコラムでは、今シーズン完全復活の期待がかかる中﨑翔太について、OBの大野豊氏に語ってもらった。※取材は4月上旬。

今季、セットアッパーとして活躍する中﨑翔太(今年の春季キャンプで撮影)

◆中﨑復活がもたらす影響

 開幕6連勝とカープは最高のスタートを切りました。開幕前の段階で先発陣は大瀬良、九里、森下、床田らの4人は固まっていました。そこへ5番手、6番手として遠藤と玉村が加わって、先発6枚が揃いました。

 そして課題は『栗林につなぐセットアッパーをどうするか』という点でしたが、そこへ中﨑が入ったことで、7回は塹江と島内、8回は中﨑、最終回は栗林という『勝利の方程式』が出来上がり、しっかり機能しています。

 4月1日~3日の中日戦では3連敗を喫しましたが、先発陣は崩れていません。いずれもロースコアの試合でしたから、投手陣は非常に頑張って投げているのだと感じます。開幕戦からここまで、消化した試合はまだ少ないですが、先発陣が大崩れしていないということは、チームにとって明るい材料だと言えるでしょう。

 中でも中﨑は、昨年の秋頃から状態もかなり良くなってきていました。昨年までは膝や腕の手術を受けた中で、自分の体をしっかりと使って球を投げ切れていなかった部分もあったのだと思います。

 その点、今年はケガや体に対する不安材料がなくなったというのが、非常に大きいのではないかと思います。春先はあまり調子が上がってこないシーズンもありましたが、今年は良い状態で投げ切れているという点も心強いです。

 佐々岡監督が理想とする戦い方をするためにも、中﨑の復活は非常に大きな意味を持つと思います。全体的にブルペンも若返っている中で、彼の経験値や存在は周りの若い選手たちにとって良い影響を与えているといえるでしょう。若手のお手本となり、いろいろとアドバイスもできる立場です。

 中﨑のような経験豊富な投手がしっかりとブルペンにいることは、チームにとってプラスになると思います。役割分担の中で中﨑はしっかりと結果を出しているので、その存在意義はさらに大きいと感じますね。