お笑い芸人として活躍中のザ・ギース尾関高文氏の本連載。これまでカープに在籍した歴代外国人選手を、時には厳しく、時には優しく、時にはユーモアを交えながら、尾関氏ならではの視点で紹介していきます。今回は、現在は駐米スカウトとして、数々の外国人選手をカープに送り届けているシュールストロム選手を取り上げます。

◆クローザーからスカウトに転身

 助っ人の活躍の仕方は様々。ホームランでチームに貢献する助っ人。タフな投球で投手陣を支える助っ人。パフォーマンスでファンを盛り上げる助っ人。そんな中でもチームに1番大きな貢献をするのは「優良助っ人を連れてくる助っ人」ではないでしょうか。

 エリック・シュールストロームといえばカープファンにはお馴染みのカープの名スカウト。しかし現役時代にカープで抑えを担っていた姿を覚えている方は意外と少ないかもしれません。

 シュールストロムが日本へきたのは1998年。その巨体から繰り出す速球で一年目に日ハムで7勝を挙げますが、肩の故障で翌年には退団。シュールストロムが野球を諦めようとしたその時、カープが獲得に動きます。元々リトルリーグ時代に訪れたこともある広島に縁を感じ、2001年にカープへとやってきたシュールストロム。1998年に小林幹英旋風が巻き起こって以来、抑えが見つからなかったカープにピタリとシュールストロムがハマります。なんとシーズンの早い段階で11セーブをマーク。しかし再度肩のケガが再発してしまい、そのままシュールストロムはカープを退団。野球人生をカープで終えることになります。

 ところがシュールストロムの野球人生はここからでした。カープはシュールストロムにスカウトへの転身を打診。自分を拾ってくれたカープに恩返しがしたいと快諾し、カープの名スカウトがここに誕生することになったのです。もしかするとカープはシュールの人格やスカウトの才能を獲得の時点である程度見抜いていたのかもしれません。

 その後シュールストロムがルイス・ベイル・サファテ・ラロッカ・ジョンソン・ミコライオなどを連れてきたことを考えると、シュール自身の獲得はカープにとてつもない勝ち星やセーブをもたらしたことになります。

 シュールストロムの助っ人を見るポイントはプレイもさることながらその人格。アウトでも一生懸命走っているか、三振後にバットを叩きつけないか、細かい性格を見て日本の野球に合うのかを見定めます。

 最終的に日本にリスペクトを持ち、日本にアジャストできる助っ人だけを獲得するのです。しかも資金が潤沢にある球団とは違い、限られた資金内での交渉まで請け負います。資金というハンデを逆手にとり、お金以外の部分をしっかり見定めるからこそこれまで素晴らしい助っ人を獲得できたのですね。

 コロナ前はキャンプになるといつも顔を見せていたシュールストロム。私も何度か球場でご挨拶をさせてもらったことがあります。いつも笑顔でふっくらしたお腹をぽんぽんさせながらチーム関係者と話している姿が印象的でした。

 今年シュールストロムが獲得したターリーが何卒大活躍しますように。そしてあわよくばカープの名スカウトにまでなりますように。

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ザ・ギース 尾関高文(おぜきたかふみ)
広島県東広島市西条町出身のお笑い芸人、熱狂的なカープファン。好きな歴代カープ選手はロビンソン・チェコ投手。 2012年に出演したアメトーーク「広島カープ芸人」で、「カープ OB の北別府さんはブログのコメントに全て返信する」と語り、北別府氏のブログを炎上させた経験を持つ。

[尾関高文公式Twitter]@geeseojeck