大野寮への入寮を終え、待望のプロ生活をスタートさせた新入団7選手。この企画では、ドラフト指名後に行った独占インタビューをもとに、チームに新風を吹き込む新入団選手の決意を紹介していく。今回は、2020年ドラフトでカープとしては唯一の育成指名となった二俣翔一の意気込みをお届けする。

育成ドラフト1位でカープに入団した磐田東高・二俣翔一選手。強肩を生かした安定したスローイングが魅力。捕手でのトリプルスリーを目指す。

◆強肩を生かした安定した送球を武器に支配下登録の道を切り開く

 今や最もポジション争いが熾烈とも言える、カープの捕手陣に新戦力として加わるのが、二俣翔一。近年の主力選手を数多く発掘してきた松本スカウトが見つけてきた原石だ。

「プロ野球選手になることが小さい頃からの夢だったので、やっとスタートラインに立ててホッとしましたし、ここからだぞという気持ちが湧いてきました。また、担当スカウトの松本さんから『君ならすぐに支配下になれるよ』と言っていただけことは自信になりました。育成ですが、入団したらみんな一緒だと思うので、とにかく自分の持ち味をアピールしていくしかありません」

 二俣の捕手人生を語るうえで、絶対に外せないキーマンがいる。それは野球を始めてから、時には厳しく、時には優しく、ずっとそばで支えてきた父親だ。

「野球を始めたのも捕手をやってみたいと思ったのも父の影響です。父は高校で怪我をして野球を辞めてしまいましたが、ずっと捕手をやっていました。その影響もあり、チーム事情で別のポジションをすることもありましが、これまでの野球人生の多くを捕手としてプレーしてきました」

 松本スカウトの心を射止めた一つのきっかけでも“強肩”は、父親と共につくりあげてきた親子の作品。それは、プロで戦っていくうえでの強力な武器となる。

「肩に関しては、小学校・中学校・高校では、誰にも負けたことがないと言えるほど自信があります。また安定したスローイングも持ち味です。捕手を始めた頃は、力任せに投げていましたが、力だけでは足の早いランナーは刺せないことを学び、捕ってから投げるまでのスピード、捕球後の足の運び方を意識して送球の練習を重ねました。中学校までは、父がよく練習や試合を見に来ていたのですが、来るたびに“捕ってから遅い”と言われてきたことも意識付けのきっかけになったと思います」

 また、父親から、捕手の視点で人間観察をする大切さを小学校から教わってきた。その観察眼は、野球をするうえで、おおいに役立っているという。

「高校に入学しても、味方投手の癖や相手打者の癖など、選手の特徴は、メモも活用しながら頭に入れてきました。高校になってから、新たに気づいた視点もあるので、選手を観察する力は成長したと思います」

 二俣が見据えるのは、會澤翼や坂倉将吾のような“打てる捕手”。プロ野球ではいまだ達成されたことがない、捕手としてのトリプルスリーを狙っていく。

「まずは、1日も早く支配下登録を勝ち取ること。カープには若い捕手が多いので、良い刺激を受けながら、とにかく必死についていきたいと思っています」

 昨年“育成の星”としてブレイクした大盛穂に続く存在となれるか、小さな頃から親子で築いてきた“捕手道”がプロで花開くことを期待したい。

◆二俣翔一(ふたまた しょういち)
2002年10月21日生
18歳/右投右打
180cm・76kg
磐田東高