◆より柔軟な采配で交流戦を勝ち抜く

 さらに交流戦を短期決戦と捉えることで、采配面において、より柔軟な発想を梵氏は求める。

「賛否両論あると思いますが、たとえば交流戦の投手起用について、うまく登録抹消などを使いながら、どんどん投手を試合に投入していく戦い方もリーグ優勝を成し遂げる上で重要なのではと思います」

 交流戦は同一リーグ内のチームとのゲーム差が開きやすい、“ハイリスクハイリターン”な時期であるだけに、そこに戦力をつぎ込み上位で交流戦を終えることで、リーグ戦再開後は一気に優位に立つことができる。

「以前より試合数は減りその影響は少なくなりましたが、今後“交流戦に賭ける”チームが出てきたらどうなるのかが気になりますね」

 交流戦が始まった2005年以降のシーズンでは、交流戦がない初のシーズンとなる2020年シーズン。実際に交流戦を戦っている選手にとって、この期間はどのような位置付けだったのだろうか。

「僕が現役の頃は交流戦は苦難の連続でしたが、普段自分たちが行けない場所でファンのみなさんにプレーを見せることがができる貴重な機会でした。また他球団の一流選手が普段どのような練習をしているのかを見るチャンスでもあります。選手としても交流戦はメリットが多いだけに、今年交流戦が中止になってしまったのは残念でなりません」

 選手、そしてファン両方の心情を慮りながら、今回の交流戦中止について語った梵氏。今季は残念ながら中止となったが、最後に来季以降おすすめの観戦方法や、観戦ポイントを聞いた。

「普段別々のリーグに所属して関わり合いがなさそうな選手同士が実は同じ高校、同じ大学、同じ地元だったりと意外なつながりがあるものです。選手名鑑を片手に、そういう部分に注目してみると、これまでとは違った角度で試合を見られるようになるかもしれません」

 新型コロナウイルスの影響により制限を強いられていた日々も、徐々に日常を取り戻しつつある。プロ野球の世界では6月19日から今季のシーズンが開幕することがついに決まった。来季以降、両リーグの意地がぶつかり合う熱い交流戦を、また見られる日がやってくることを願うばかりだ。