残念ながら、導入以来初の中止となったプロ野球の交流戦。カープにとっては苦い思い出、そしてそれを上回る程の劇的勝利の記録なと、さまざまな出来事がこの15年間の間にあった。

 長きにわたりカープを牽引したカープOB・梵英心氏の証言を元に『カープがなぜ交流戦を苦手にしていたのか』を探る企画も今回が最終回。 

 第3回目では、これまでのカープの戦いを踏まえた上での交流戦を制するキーポイントとなる存在、そして新たな交流戦の戦い方を提言してもらった。

2016年の交流戦で見せた劇的な活躍でチームを牽引した鈴木誠也。チームは3位に輝いた交流戦で勢いに乗り、そのまま25年ぶりの優勝を果たした。

◆短期決戦で重要なラッキーボーイの存在

 実際にグラウンドに立ち、プレーしていた選手の目線から見ればセ・リーグとパ・リーグの差は通算勝敗数の差ほどは離れていないと前回までの連載で梵氏は語っている。では、カープが交流戦で勝ち切るのポイントとは何なのだろうか?

「カープが交流戦で負け続けていた時期、そういう時期は『ラッキーボーイ』と呼べる存在が出てきませんでした。一つの出来事をきっかけに、一気に階段を駆け上がっていくのがラッキーボーイです。それまで影が薄かった選手が、交流戦になり水を得た魚のように活躍するとチームの雰囲気は必然的に良くなります」

 カープの交流戦におけるラッキーボーイとして記憶に新しいのが、まさに25年ぶりの優勝を果たした2016年のオリックス戦で3試合連続勝ち越し弾を放った鈴木誠也であり、2017年に初打席初本塁打を記録したバティスタだろう。

 2016年は交流戦3位、そして2017年は歴代最高順位の交流戦2位を記録するなど、ラッキボーイの存在がチームに勢いを与え、周囲の選手にも相乗効果を与えていた。

「日本シリーズやクライマックス・シリーズなどの短期決戦と同じく、交流戦でもラッキーボーイは重要なんです」

 交流戦を機に一気にスターダムへと駆け上がり、今や日本の4番まで成長を遂げた鈴木誠也。来季以降の交流戦ではどんな“ラッキーボーイ”がカープで生まれてくるのだろうか。