思わず心を奪われる!カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、広島アスリートマガジンWEBで、新たなカープの魅力を切り取る。今回スポットを当てたのは交流戦。鬼門と呼ばれるパ・リーグとの戦いを、オギリマ視点でゆる~く取り上げる!

◆ネガティブなイメージにとらわれていては良くない

 今年もこの季節がやってきた。交流戦である。「交流戦」と聞くと、カープファンはちょっと身構えてしまう。というのも、「カープは交流戦が鬼門」という言葉があちらこちらで聞こえてくるからだ。

 確かに、過去の交流戦でのカープの成績は芳しくない。2005年から昨年までの計16回の交流戦のうち(2020年はコロナ感染拡大の影響で中止)、カープが勝ち越したのは2008年、2009年、2016年、2017年の4回のみ。その勝ち越した2009年でさえ、あの「1イニング15失点」を記録した試合(2009年6月11日・ロッテ戦)もあって、印象はあまり良くない。

 しかし、普段はなかなか見ることができないパ・リーグチームとの対戦の機会、ネガティブなイメージばかりにとらわれていては良くないのではないか。勝敗は一旦置いておいて、交流戦だからこそ楽しめるポイントを考えてみたい。

【その1】普段は食べられない球場グルメが味わえる

 交流戦に合わせて、各球場内では限定メニューが販売されることが多い。マツダスタジアムでは交流戦の間、パ・リーグ6チームのカラーに合わせたカクテルが販売されている。また先日のロッテ戦では、黒いヘルメット型容器に「みそピーから揚げ」や「黒ゴマアイス」を入れたメニューが限定販売されていた(カープ公式インスタグラムより)。

 限定メニューは本拠地だけではない。先日のソフトバンク戦ではPayPayドームでカープのヘルメットメニューが販売されていたし、今週末の西武戦でもベルーナドームで「真っ赤なカキフライカレー」や「レモンあんの入ったライオンズ焼き」の販売が予定されている。相手チームの本拠地で、カープのメニューが食べられるのは楽しみである。

【その2】相手チームに関わりのある選手の交流が見られる

 カープからパ・リーグ球団に移籍した選手、あるいはパ・リーグ球団からカープに来た選手たち。普段はリーグが違うためなかなか会うことができないだろうが、交流戦ではこうした選手に注目したい。

 今年、交流戦最初のカードであるロッテ戦で、私が一番気になっていたのが小窪哲也コーチであった。昨年シーズン中に独立リーグからロッテに入団し、シーズン末に引退してカープにコーチとして復帰した小窪。その小窪に、ロッテの選手たちが次々と挨拶に訪れる姿は、微笑ましい光景であった。

 また、一昨年カープを戦力外になってから、独立リーグを経てソフトバンク入りした藤井皓哉の活躍を見るのも嬉しかった。藤井の活躍=カープが抑えられる、ということなので、複雑な心境ではあったが。

 ここまで書いてはみたものの、やはり一番喜ばしいのはカープが勝つことであるので、残り試合の選手の活躍に期待したいところである。

 

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オギリマサホ
1976年東京都出身。イラストレーターとして雑誌や書籍等の挿絵を手掛けるかたわら、2018年より文春オンライン「文春野球コラム」でカープ担当となり独自の視点のイラストコラムを発表。著書に『斜め下からカープ論』(文春文庫)がある。