新戦力や若手の躍動で開幕から好調な戦いを見せるカープ。4年ぶりの優勝も目指せる陣容がそろったが、長いシーズンを勝ち切るためには「優勝」を知るV3戦士たちの力が必要になるときが、必ずやってくる。田中広輔、野村祐輔、中﨑翔太のような「勝利を知る」存在が本来の実力を発揮するとき、はじめて悲願の頂点への道が開けるはずだ。

リーグ3連覇を1番打者として牽引した田中広輔

◆2016年からの3連覇を主力として支えた選手たちの力

 2022年のシーズン序盤、カープは開幕から好調をキープしてきた。3年連続Bクラスに沈んだチームから、今季は不動の4番・鈴木誠也がメジャーに移籍。戦力的に厳しい戦いが予想されたが、ふたを開けてみればDeNAとの開幕戦で11対3と大勝し、そこから怒涛の6連勝。4月終了時点でリーグ2位につけ、5月11日には首位に立つなど、シーズン序盤ながら上位争いを展開してきた。

 新選手会長の大瀬良大地、昨季最多勝のタイトルを獲得した九里亜蓮、昨季チームトップの投球回を記録した森下暢仁の先発3本柱に、6年目左腕・床田寛樹が加わった先発投手陣は、12球団屈指の安定感を誇る。

 懸念された打線も西川龍馬、坂倉将吾といった主力が期待通りの打棒を見せ、プロ10年目で初の開幕スタメンをつかみ取った上本崇司が躍動。昨季不振に苦しんだ堂林翔太が復活の兆しを見せ、コロナ禍で来日が遅れていた新外国人・マクブルームがしっかりと鈴木誠也の代役4番に座る。ドラフト6位ルーキー・末包昇大も前評判の高かったパワーだけでなく確実性も見せつけるなど、主力、生え抜き、新戦力がバランス良く機能し、鈴木誠也が抜けた穴を感じさせない活気を見せている。

 Aクラス入りはもちろん、4年ぶりの優勝も視野に入る充実の戦いぶりを見せるカープだが、忘れてはいけないのがシーズンがまだ3分の2以上残っているということだ。歯車がかみ合っているうちはいいが、長いシーズンには当然、浮き沈みが存在する。

 そんなとき、頼りになるのが「優勝を知る存在」。つまり、2016年からの3連覇を主力として支えた選手たちだ。(後編に続く)