今年の交流戦、5勝13敗の最下位に沈み、貯金をはき出してしまったカープ。チーム打率.217、33得点、2本塁打、2盗塁、83失点はいずれも12球団ワースト。投打ともに噛み合わず、苦しい戦いが続いた。さらに交流戦明けには、首位ヤクルトに3タテされる結果に。ただ、嘆いていても仕方ない。交流戦で見えた明るい収穫を探してみたい。

今季から野手キャプテンに就任。チームリーダーとしての活躍も期待される野間峻祥。

◆トップバッターの定着

 4月後半から流動的だった1番打者。交流戦前に野間峻祥が一軍に合流し、リードオフマンに定着した。

 交流戦最初のロッテとの3連戦では3安打、2安打、3安打と奮闘。出場した16試合中14試合でヒットを放ち、交流戦打率.290をマークした。同出塁率.300が少し気になるところだが、アグレッシブに振っていった結果でもある。

 交流戦中には西川龍馬が左足首の不調で離脱し、今度は3番打者が不在だが、ひとまず課題だったトップバッターは目処が立った。

 また上本崇司も一時期はヒットが出ていなかったが、交流戦でスタメン出場の機会を得て、再び調子が上向きに。出塁率やしぶとさが加味すれば、野間との1・2番コンビでの起用もありだろう。

◆森浦大輔らリリーフ陣の健闘

 交流戦前、チームの課題だった「8回の男」に森浦大輔が定着。交流戦での6登板を無失点でしのぎ、実力を証明した。

 また交流戦明けに打ち込まれたが、ケムナ誠も交流戦は7登板で失点は1度だけ。ターリーも7試合で1失点と調子を上げている。ターリーは制球が不安だったが、交流戦中は7試合中6試合で無四死球にまとめた。

 ある程度、リリーフ陣の序列が固まってきただけに、この流れをシーズン終盤まで継続してもらいたい。

◎野村祐輔の復活勝利

 6月10日の西武戦でプロ11年目の野村祐輔が今季初登板。6回途中を3失点にまとめ、618日ぶりの白星を挙げた。

 大瀬良大地、アンダーソンらが調子を落とすも、床田寛樹、遠藤淳志は結果を残しているだけに、先発陣が活性化するのは頼もしい。

 また6月12日の西武戦ではドラ2・森翔平が一軍デビュー。しばらくはビハインド時に起用されそうだが、谷間の先発でぜひ見てみたい投手だ。

 交流戦で大きく負け越したのは事実だが、決してマイナスだけではなかったカープ。ただ、チーム打率に依存したつなぐ野球には進化が必要とも言える。「好調な打線」はチーム打率に加えて、長打力や機動力も優れているもの。本塁打数はすぐには上がらないだろうが、点の取り方をブラッシュアップすれば、巻き返しも不可能ではないだろう。