◆プロ野球の捕手と審判の関係とは?
坂上 卓球はネットを挟んで対面する競技なので、相手が叫んでいるところも目の当たりにすることになりますよね?
成本 そうですね。自分が勝っているときは、相手の表情や仕草を見ながら「ああ、嫌がってるな」と観察したりするのですが、逆に押されているときは相手を見てしまうともっと押されてしまうので、わざと相手の顔を見ないようにしたりします。今は新型コロナウイルスの影響もあって、試合中でもなるべく声を出さないようにと指導されていますから、得点を決めて思わず声を出してしまうと、周りから「静かに」と指摘されることもあります。
坂上 石原さんは現役時代、バッターボックスに立つ打者をつま先から頭までじっと見ている印象がありましたが、あれはどういった意図があったのでしょうか。
石原 つま先を見ていたというよりも、あれは、打者の『立つ位置』を見ていましたね。立つ位置は基本的にどの選手も変わらないのですが、年間に何度か、いつもと違う位置に立つ打者もいます。前の方に立っていれば、「変化球を待っているんだな」とわかりますし、後ろの方に立っているならストレート系を待っていると予測できます。そうした違和感がないかどうか、間違い探しをしているような感じでした。あと野球では、キャッチャーの真後ろに審判が立っていますよね。ジョンソンが投げる試合は特に顕著なのですが、ジョンソンがイライラし始めると、審判も同じようにイライラし始めるんです。
一同 (笑)
石原 ジョンソンがイライラし始めたな、と感じたら早めに声をかけに行くようにしていたのですが、マウンドから戻るときに、審判に小声で「ジョンソンには言っといたので……すみません」と声をかけるようなことは多々ありました。
坂上 ホッケーはサッカーと同じようにファウルのある競技ですが、審判との関係で金藤選手が気をつけていることはありますか?
金藤 私はけっこう思ったことを言っているほうだと思います。ただ、どのスポーツも同じだと思いますが、審判に対してはリスペクトしなければいけません。言い方やタイミングには気をつけて、なるべく良いコミュニケーションを取るようにしています。
◆「スポーツ王国・広島を盛り上げたい!」SAHの今後の展望とは。
坂上 こうして垣根を越えて他の競技の選手とお話をする機会もなかなかないと思います。『TeamWISH』に参加されてみて、いかがですか?
成本 卓球ではないスポーツに挑戦して、どのくらいできるのか? は気になりますね。あとは、卓球以外のスポーツとのコラボであったり、イベントなどもやってみたいと思っています。
坂上 この3競技で、ストラックアウト対決をやってみても面白そうですね。
石原 良い勝負になりそうですね。ホッケーも卓球も狙った場所に打てると思うので、もしかすると、野球が一番ヘタかもしれません(笑)。
坂上 金藤選手は、チームを横断してやってみたいことはありますか?
金藤 他のスポーツの試合を見に行ってみたいですね。もちろんスポーツそのものも体験してみたいですが、まずは卓球を見に行ってみたいです。
成本 本当ですか? うれしいです。私も、ホッケーはスピードやパワーがすごいと聞いているので、実際に観戦してみたいと思いますね。
坂上 選手の立場から、SAHや『Team WISH』に、今後どのように発展していってほしいと考えていますか?
成本 私は『Team WISH』を通じて、他の競技選手や、県内のスポーツファンのみなさんと交流できる場が増えていけば良いなと思いますね。
石原 スポーツを知るきっかけは、どんなものでも良いと思っています。そういった意味でも、ゲーム性を持たせた取り組みは非常に面白いと思いますし、選手とファンが交流できる場を設けることで、直接言葉を交わしながら、競技の面白さも伝えていけるのではないかと思います。
金藤 『TeamWISH』はいろいろなスポーツを知るきっかけにもなりますし、『WISH Match』を通じて選手やルールを知ることで興味も持ってもらえるのではないかと期待しています。
坂上 神田代表は、こうした取り組みを通じて、広島という地域をどのように盛り上げていきたいとお考えですか?
神田 広島は他県に比べても、圧倒的にトップスポーツが盛んな地域です。スポーツのファンの中には、「平日はしんどいけれど、週末の試合を楽しみに頑張ろう」と、スポーツを日々のモチベーションにしている方もたくさんいます。そして広島には、そのモチベーションの源となるチームがたくさんあります。これは非常に恵まれた環境だと思っています。この環境を活かして、県民のみなさんも、スポーツチームのみなさんも、双方を盛り上げていけるように、SAHとして取り組んでいきたいですね。
石原 今回この座談会のオファーをいただいたときに感じたのですが、これまで招いていただいたイベントは、カープであればテーマもカープだけ、登場する選手もカープだけ、といったものがほとんどだったんです。今回のように、他のスポーツの選手と垣根を越えて共演できる機会が増えていけば、見ている方もいろいろなスポーツに興味を持ちやすいと思いますし、直接お話をすることで伝わるものもあると感じました。
坂上 選手として、SAHに期待したいことはありますか?
金藤 今はまだ、ホッケーの試合だけでたくさんの方に見に来ていただくというのは難しいと思っているので、有名なスポーツやチームの力をお借りすることでホッケーをどんどん宣伝して、まずは知ってもらいたいですね。
坂上 成本選手はいかがですか?
成本 卓球の試合も、スピード感や選手の特性など、注目してほしいポイントはたくさんあります。ただ、どうしても遠征試合がメインになってしまって、広島の方に直接観戦してもらえる機会が少ないので、試合以外の機会を作って積極的に地域の方と触れ合って行きたいですね。
坂上 最後に、みなさんの抱負をお伺いしたいと思います。今後、個人として、広島のチームとして、地域をどのように盛り上げていきたいと考えていますか?
成本 卓球は6月に日本リーグの前期大会が開催されます。中国電力はまだこの前期大会で優勝したことがないので、まずはここで優勝して、広島県の方々に中国電力卓球部を知っていただきたいと思います。そして、こうしたイベントにも積極的に参加して、チームの魅力を発信して行きたいと思っています。
金藤 2022年は10月14日から、広島広域公園第二球技場で全日本社会人ホッケーの選手権大会が開催されます。そこでたくさんの方に見に来ていただきたいなと思います。また、コカ・コーラレッドスパークスホッケー部には、日本代表に招集されている選手が10人以上います。今年は悲願の四冠も狙っているので、そうした結果にも注目していただければと思います。
石原 僕は引退して2年経ちますが、テレビのお仕事をさせていただく機会も多くあります。カープに限らず、こうしたさまざまなスポーツの魅力を視聴者のみなさんに伝えていければと思いますし、いろいろなイベントにも積極的に参加させていただいて、野球だけではなく、スポーツ全体への恩返しを続けていければと思います。
神田 今日はとても楽しい時間を過ごせました。これからもこうした場を設けて、広島で活躍するたくさんのスポーツの魅力を、広島のみなさんに届けていきたいと思います。
坂上 本日はありがとうございました。
一同 ありがとうございました。