◆実はハードなホッケー。卓球選手には意外な悩みも……?

坂上 今まで触れることのなかったスポーツに出会えるという意味では、『WISH Match』というゲームは非常に興味深いと感じます。ホッケー、卓球、野球はいずれもボールを使うスポーツですが、たとえば「どのボールが最も硬いか?」と比較するなど、勝敗だけではない楽しみ方も見つかるわけですよね。ホッケーのボールは、野球の硬式球よりも硬いと聞いたことがありますが、いかがですか?

金藤 そうですね。硬いと思います。

石原 それで、防具なしでプレーをするんですか?

金藤 はい。プレー中は脛当てとマウスピースだけですね。打撲はしょっちゅうですし、脚に痣ができることもあります。ヘルメットをかぶるのはゴールキーパーだけなので、顔のあたりもすごく危ないんです。

コカ・コーラレッドスパークスホッケー部・金藤祥子選手

石原 そのくらいのリスクを背負ってプレーしているわけですから、もっとたくさんの人に知ってもらいたいという思いはあるでしょうね。申し訳ないですが、僕も「ホッケーのボールは野球よりも硬い」ということを、いま教えてもらうまで知りませんでした。ほとんど防具をつけずにプレーをするなんて、まるで格闘技のようなものですよね。

坂上 その点、卓球は体に当たってもあまり痛くなさそう……という印象があるのですが、いかがですか?

成本 ボールが当たったときの衝撃は、ホッケーや野球のほうが激しいと思います。ただ卓球も、相手が同じミスをすると何度も同じ場所にボールが当たってしまうので、痛い思いをすることになりますね。練習が終わる頃に、小さな痣ができていることもあります。ボールが当たっている時の音はペチ!ペチ!とかわいいかも知れませんが、当てられるほうからすると「もう!そんなに当てないでよ!」と思ったりします(笑)。

坂上 成本選手は、2022年1月の全日本選手権女子ダブルスで準優勝されましたが、ダブルスの選手は普段からお互い仲が良いものなのでしょうか?

成本 そうですね。全日本選手権でコンビを組んでいたパートナーとは何でも言い合える仲だったので、「私はこのコースが苦手」「私はこういうプレーが得意」と素直に話ができていました。あとは、チームにもよると思います。仲が良くないダブルスの場合は、「絶対にパートナーよりミスをしたくない」という意地があるから強い、というパターンもあるようですね。

坂上 石原さんは現役時代、クリス・ジョンソン投手と日本一のバッテリーにも輝きました。ジョンソンさんとは、人間関係が先に出来上がっていたのでしょうか。野球での関係性が先でしたか?

石原 ファンのみなさんは、僕とジョンソンは非常に親しいと思われているかもしれませんが、実はプライベートで食事に行ったことは一度もないんです。

元広島東洋カープ・プロ野球解説者・野球評論家 石原慶幸氏

石原 彼はアメリカから奥さんと一緒に来日していましたし、海外の人は奥さんファーストに考えるところがあるので、普段は必要なことしか話をしていませんでしたね。ジョンソンは先発でしたから、週に一度しかバッテリーを組む機会もありません。よく「仲が良いんですね」と聞かれるのですが、その点については「そうです。仲が良いんですよ」と言ってしまって良いのかどうか、迷うことはありますね。ただ、ジョンソンが次にどんな球を投げたいのかや、いま苛立っているな……ということなどは、バッテリーを組んでいるうちにわかるようになってきたのではないかと思います。

坂上 普段と野球のコミュニケーションは、また別物ということでしょうか。

石原 そうですね。ただ、僕は相手の本音や性格を知りたいので、マウンドで感情を出さないタイプの投手であれば、プライベートで話をするなど、相手によってコミュニケーションの方法を工夫していました。

◆異なるスポーツを横断して楽しめる『WISH Match』

坂上 各競技で共通するところもあり、まったく違うところもあるというのは非常に興味深いです。そうした異なるスポーツを横断してつなごうという『TeamWISH』の狙いや、『WISH Match』というコンテンツの今後の展望について、神田代表はどのように考えておられますか?

神田 とにかく『TeamWISH』や『WISH Match』を「もっと知ってもらう」ことで、TeamWISHに参加してくれているチームや選手の皆さんを含め、より幅広い層のみなさんに楽しんでもらえるのではないかと思っています。

坂上 私も『WISH Match』をチェックしてみましたが、例えば、「サンフレッチェ広島の選手たちが1試合に走る合計走行距離と、ロードレースチーム・ヴィクトワール広島の選手が1レースで走る距離のどちらが長いか?」などの二択から、正解だと思うほうを選んで投票する仕組みになっていましたね。

神田 はい。二択から正解だと思うほうを選んでエントリーして、正解数に合わせてポイントが加算されランキングに反映されるという仕組みになっています。異なる競技を比較する面白さもありますし、過去の試合データをチェックしたり、チーム、選手の情報を調べることで、スポーツそのものにも詳しくなるような流れを生むことができれば良いと思っています。ポイントを貯めてみんなで競うなど、ゲーム性の高いものになっているので、まずは『WISH Match』を入り口に、ゲーム感覚でさまざまな競技を広く知ってもらえることを期待しています。

坂上 いろいろなスポーツの数字を比較しようという『WISH Match』ですが、石原さんはここまでお話を聞かれていかがですか?

石原 すごく面白い取り組みだなと思いますね。例えば卓球だったら「サァ!」と言った回数を数えるとか……。

一同 (笑)

神田 それなら、映像を見て数えればいけるかもしれませんね(笑)。