いよいよ開幕した、第104回全国高校野球選手権 広島大会。甲子園への切符をかけ、県下85校83チームが熱闘を繰り広げる。

 本連載では、広島大会注目の選手をピックアップ。第1回目の今回は、エースとセカンドとしてチームの中心を担う双子の兄弟、三次の沖田朝陽、耕陽(3年)を紹介する。

最後の夏を迎える三次高校野球部3年生の沖田耕陽(左)と朝陽(右)。

◆9年間共にプレーしてきた双子。1日でも長く最後の夏を戦う!

 今年で創設120年目を迎える三次。広島県内有数の伝統校である野球部で甲子園を目指す双子の兄弟・沖田朝陽(3年)と沖田耕陽(3年)。

「自分はどちらかと言えば人見知りです」(朝陽)

「兄よりは真面目な方です(笑)」(耕陽)

 と話すように、見た目も性格も異なる2人。兄である朝陽はエース、弟の耕陽はセカンドとしてチームに欠かせない存在だ。

 2人が入学当時から指導する鷲尾泰史監督は、「朝陽はエースです。柔らかいモーションから膝元に伸びるストレートが特徴的で、なかなか教えても投げられない球。変化球と制球が課題です。弟の耕陽は一言で言えば野球小僧です。打線ではつなぎ役で、彼が塁に出ると点につながります。守備範囲も広がってきています」と2人を評価する。

 一番上の兄の影響で、お互いに野球を始めた沖田兄弟。高校進学の際も、兄が三次でプレーしたこともあり、迷いなく2人で進路を決めた。兄が投手、弟が内野手として日々鍛錬を積んでいく中でそれぞれ印象に残る試合がある。

「2年春の大会で広島商業戦に投げさせていただいたのですが、1アウトも取れず途中降板してしまったことです(朝陽)」

「2年秋の大会の武田との試合で、9回まで3点差で勝っていたのですが、最後の詰めが甘くて逆転負けしてしまったこと(耕陽)」

 印象に残っているのは、いずれも悔しさだった。コロナ禍において制限がある中でも、2人は悔しさを糧に意識を変えて練習に打ち込んだ。

 新チームとなり、お互いにチームの主力として迎える夏。

「今までやってきたことを着実に出せば勝てると思うので、練習試合などで課題をクリアして、いかに自分の力が発揮できるかだと思います」(朝陽)

「小学校から高校まで9年間野球をやってきて、おそらくこの夏が2人同じチームで野球をプレーする最後になると思います。目の前の試合に集中して、広島県で1位になれるように頑張りたいです」(耕陽)

 長年同じユニホームを着て、互いに刺激し合いながらプレーしてきた沖田兄弟。1日でも長く一緒にプレーをするため、3年間の練習の成果をこの夏に発揮する。

《広島大会データ》7月9日から広島県内8球場で開催。今大会のシード校は、広陵、崇徳、呉港、呉、大竹、広、三原、尾道の8校。決勝戦は7月26日、ぶんちゃんしまなみ球場で予定されている。