◆チーム全体の中でのリーダーシップ論

― 昨年オフにヘルニアの手術をされたわけですが、手術を決意するまでにはいろいろ迷われたと思いますが。
緒方「手術をするとしばらくトレーニングができなくなります。だから最初はなるべくなら手術をせずに治すのが一番いいと思い、リハビリやトレーニングと合わせた治療で治らないものかといろんな方法を試してみました。アメリカにも渡って専門医の先生にも診てもらいましたが、結局うまくいかず、手術という最終的な手段に踏み切る事にしました」

― 春季キャンプでは野村謙二郎選手、前田智徳選手とともに日南でスタートされて、全体練習から離れた個別のメニューでじっくり調整していました。
緒方「ここ4、5年はずっと春季キャンプは主力中心の沖縄組から外れて日南組からスタートし、自分のペースでやらせてもらっています。だから本隊から外れて調整をする事に関しては全く問題はありません。ある程度自主トレでいろいろトレーニングをして身体を作ったとしても、それからすぐキャンプインして若い選手達と一緒になってメニューをこなすという事になると、寒い時期なのでやはりケガなどリスクが高いですから。まだ身体が完全に出来上がっていないのに、気持ちばかりが盛り上がってしまって周りと競争してしまうと、身体に知らず知らずのうちに大きな負担がかかってケガにつながると思います。だから周りの事は敢えて見ないようにして、自分の中で身体の状態を確認しながらやっていこうとしました」

― 打線に限らずチーム全体の中でのリーダーシップや役割について、緒方さんご自身はどのように考えていらっしゃいますか。 
緒方「『チームを引っ張って行かなければ』と特に意識するのではなく、自分の持ち場、自分の仕事をしっかりと一生懸命やる事がまずは重要だと思います。今年は野村さんにしても前田にしても、走攻守全般での一つ一つの動きが昨年までとは比べ物にならないほど良いですから。また若手にしても『今年はチャンスだ』と思って必死でやっている姿が見えます。僕もみんなの姿を見ると刺激を受けますし、また自分も周りに刺激を与えられるようなプレーをしていきたいと思います。その一つ一つの積み重ねがチーム全体の勢いや成績につながってきて、ファンの方も『今年のカープは違うな』と思ってくれるのではないでしょうか」