ペナントレースも後半に入り、し烈な戦いを繰り広げているカープ。二軍でも、一軍舞台を目指す選手たちが日々汗を流している。ここでは強気の投球を武器とする右腕・大道温貴の声をお届けする。プロ5年目のシーズン、大道自身が「初めてだった」と語った転機の瞬間とはー。(取材は7月上旬)

今シーズンは二軍で28試合に登板。一軍昇格に向けアピールを続ける大道

 2024年は4試合の登板にとどまった。巻き返しに燃える2025年シーズン、大道温貴は二軍で確かな手応えをつかみつつある。

 「本当に最近ですが、今シーズン一番と言っていいくらい良い真っ直ぐを投げることができました。球速も、質も、一番手応えを感じました」

 そう話すと、次の登板が楽しみだと笑顔を見せる。

 「これまでは、課題は変化球だと思っていました。ただ今は、そこは自分の引き出しの一つという意識です。春先は150キロ出てはいましたが、今ひとつ自分の真っ直ぐではないと感じながら投げていました」

 そして登板を重ねるうちに、徐々にその違和感は大きくなっていった。

 「カーブやフォークを中心に抑えていましたが、真っ直ぐの感覚がもっと悪くなった時に、誤魔化しきれなくなりました。どうしようかと思っていた時に、ブルペンで『これだ』という感覚をつかめたんです。具体的に言葉にするのはすごく難しいのですが……150キロを連発することができて、そこから良くなってきました」

 これまでも、一つの感覚で手応えが大きく変わることはあったという。ただ、短期間でこれだけ変わったのは大道にとっても初めての経験だ。

 「まずは二軍でしっかり抑えないと、声もかからないと思います。今のパフォーマンスを毎回発揮できるように準備をしていきたいです」

 大道の真っ直ぐがチームを勝利に導く日も、そう遠くはないはずだ。

■大道温貴(おおみち・はるき)
1999年1月210生、埼玉県出身
180cm 91kg/右投右打/投手/プロ5年目・26歳
春日部共栄高−八戸学院大−広島(2020年ドラフト3位)