今年のペナントレースも終盤戦に突入。セ・リーグではヤクルトが突き抜け、CSの残り2枠を5球団が争う展開になってきた。

 8月7日終了時点で広島は阪神に12勝4敗2分、DeNAに12勝5敗、巨人には9勝9敗と好相性を示しているものの、中日には6勝11敗、ヤクルトに3勝11敗1分と苦戦が続いている。

 実は今年のヤクルトはセ・リーグ内で「圧倒的」でもない。ヤクルト目線で見てみると・・・

・対阪神:9勝7敗
・対DeNA:8勝6敗
・対巨人:10勝11敗
・対広島:11勝3敗1分
・対中日:7勝8敗
・交流戦:14勝4敗

 交流戦で築いたアドバンテージを生かして逃げ切りを図る体勢だ。逆に他の4球団がヤクルトで善戦している以上、このままヤクルトにやられ続けると、カープのCS進出争いも危うくなる。

 なぜここまでヤクルトとの相性が悪いのか。また巻き返しのキーマンを探っていきたい。
(成績はすべて8月7日時点)

今季、ヤクルトの4番・村上宗隆をノーヒットに抑えている大瀬良大地

◎打倒・村上宗隆のキーマンは大瀬良!

 まず第一の敗因として挙げられるのはヤクルト打線に打たれすぎている点。キーマンはやはりヤクルトの4番・村上宗隆だ。村上はカープをカモにしており、広島戦でここまで打率.356、10本塁打を記録している。

 当然、日本を代表するスラッガーであり、どの球団も村上を止められていないわけだが、とりわけカープは村上を抑えられる投手がほぼ皆無。ここまでヤクルト戦で投げてきた先発投手の「対・村上宗隆」の成績を見てみても、

・森下暢仁 被打率.500(8-4) 被本塁打2
・床田寛樹 被打率.571(7-4) 被本塁打1
・九里亜蓮 被打率.286(7-2) 被本塁打2
・アンダーソン 被打率.333(6-2) 被本塁打1

 と手痛い結果になっている。リリーフを見渡しても明確な「村上キラー」はいないが、希望の光があるとすれば、エース・大瀬良大地。ここまでヤクルト戦で2試合投げて、村上を5打数0安打に抑え込んでいる。

 中盤戦はやや疲れが見えた大瀬良だが、対ヤクルト戦の流れを変えられる可能性のある投手。巻き返しの奮起に期待したい。

 ただ、広島に好相性なのは村上だけではない。ヤクルトの主力の今季打率と広島戦打率を列挙してみたい。

・塩見泰隆 .298/.327(今季打率・広島戦打率)
・山﨑晃大朗 .254/.327(今季打率・広島戦打率)
・山田哲人 .251/.358(今季打率・広島戦打率)
・村上宗隆 .320/.356(今季打率・広島戦打率)
・オスナ .266/.351(今季打率・広島戦打率)
・長岡秀樹 .252/.295(今季打率・広島戦打率)

・青木宣親 .234/.154(今季打率・広島戦打率)
・中村悠平 .283/.154(今季打率・広島戦打率)
・サンタナ .368/.250(今季打率・広島戦打率)

 5番以降は流動的だったが、1~4番にここまで打たれるとかなり厳しい戦いになる。戦列に復帰したサンタナはここまで8打数2安打だが、サンタナまで機能してしまえば、手のつけようがない。ここまで打たれているのであれば、思い切って攻め方を変える必要があるのかもしれない。ここはバッテリーや戦略担当の腕の見せ所だ。

◎カープ打線も秋山を中心に立て直し!

 同じく今季打率とヤクルト戦打率を並べてみる。

・野間峻祥 .323/.364(今季打率/ヤクルト戦打率)
・菊池涼介 .254/.277(今季打率/ヤクルト戦打率)
・秋山翔吾 .293/.778(今季打率/ヤクルト戦打率)
・マクブルーム .282/.159(今季打率/ヤクルト戦打率)
・坂倉将吾 .296/.323(今季打率/ヤクルト戦打率)
・西川龍馬 .297/.308(今季打率/ヤクルト戦打率)
・小園海斗 .262/.356(今季打率/ヤクルト戦打率)
・會澤翼 .203/.268(今季打率/ヤクルト戦打率)

 ご覧の通り、打線は全体的にヤクルトをカモにしていると言ってもいいだろう。特に秋山翔吾は2試合の出場だが、9打数7安打2本塁打の大暴れ。7月22~23日の連勝に貢献した。つまり、秋山が出場すれば全勝。明らかに流れを変える存在だ。

 差があるとすれば「4番」。マクブルームのみがヤクルト戦でバットが湿っている。7月23日、神宮での試合では22安打を浴びせ、15対3の快勝を収めたが、振り返ってみればマクブルームが不在。結果的に野間、菊池、秋山、坂倉の上位~中軸がうまくつながった。

 ヤクルト打線の活況を考えると、マクブルームのヤクルト戦覚醒も勝利への必須条件。秋山、マクブルームの3番・4番の爆発に期待したい。